SPECIAL ADVERTISING SECTION

自分を創る音の風景

vol.2 歌舞伎俳優 中村七之助さん

2014年04月22日(火)12時01分

若手女形として妖艶な魅力を放つ一方、テレビ・ドラマや05年の映画「真夜中の弥次さん喜多さん」(宮藤官九郎監督作品)にも出演するなど広範囲の活動を展開してきた歌舞伎俳優、中村七之助。父は故・十八代目中村勘三郎、兄は六代目中村勘九郎。3歳で初お目見得し、87年で初舞台を経験している彼は、生まれながらにして歌舞伎役者としての道を歩み始めたとも言える。
歌舞伎という日本古来の芸能の道を歩みつつも、その魅力にいまだ取り憑かれているという七之助。彼の世界観を作ったもの、そして歌舞伎に対する情熱についてお話を伺った。

中村七之助さん1

──七之助さんの一番古い音の記憶とはどのようなものですか?
「やっぱりお三味線とか太鼓みたいな和楽器の音ですよね。小さいころから家でも流れてましたし、お芝居にいけば当然流れてるわけで。その意味では、同世代の友人たちとは環境は違いますよ。生の音楽を聴いて育ったので、テレビから流れてくる音もあまり印象に残っていないんです」

──三味線の音色にはどんな印象を持っていました?
「お三味線の音が聴こえてくると緊張したものなんですよ。〈今から俺は舞台に上がるんだ〉という思いが沸き上がってきて、気持ちが高ぶってくるんです。大人になってからは〈いい音だな〉と思うようになりましたけど、当時はまだ4歳とかですからね」

──当時の七之助さんにとって歌舞伎はどんな存在だったんですか?
「生活の一部でしたね。初お目見得が3歳のときですから、当然自分の意志で舞台に上がったわけじゃないですけど、やっていくうちにどんどん(歌舞伎が)好きになっていったんです。小さいころから歌舞伎役者の真似をしてましたからね。みなさんが仮面ライダーやウルトラマンの真似をするように、僕は歌舞伎の真似していた。それぐらい歌舞伎が好きだったし、子どもながらに格好いいと思ってたんでしょうね。歌舞伎をご覧になったことのない方のなかには〈歌舞伎って難しいんでしょ?〉と思っていらっしゃる方もいると思うんですね。もちろん難しいものもありますけど、馬鹿馬鹿しいものもあるし、日常会話がロクにできない子供が見ても格好いいと思えるものもあるんです。見栄を切るときの演出なんてよく考えたものだと思いますよ。たとえ物語が分からなくても、その瞬間にお客さんからワーッと声が上がる。子どものころの僕はそういうシーンを舞台の袖から見ながら〈格好いい!〉と思っていたんです」

──なおかつ、自分も舞台上でやってみたいと?
「そうそう、自分でもああいう風に見栄を切ってみたい!と思ったんです」

MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    未来の戦争に「アイアンマン」が参戦?両手から気流…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中