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ロシアが拡大NATOを恐れない理由
ロシア人は「われわれ対世界のメンタリティー」と、他国にはまねできない過酷な禁欲主義で苦境を生き延びる力に誇りを持っている。西側の結束は、ロシア国内のプーチン支持を強化するだけなのかもしれない。
プーチンは生き延びて権力を確実に握り続けるためには手段を選ばないストリートファイターだ。いま彼に圧力をかけているのは、戦争反対を叫ぶ国内のリベラル派ではなく、右派、すなわちもっと激烈かつ大々的な攻撃を求める軍部である。
ロシア軍は攻撃計画の規模縮小に不満を募らせている。彼らはキーウを掌握し、政権幹部を処刑する当初の計画をあくまで完遂する構えだ。軍部はロシア連邦保安局(FSB)がプーチンに誤情報を与えたために初期の作戦が失敗したとして、自軍が受けた損害を全てFSBのせいにしている。
軍部に言わせれば、これはロシア対ウクライナではなく、ロシア対NATOの戦いだ。それゆえ総力を挙げてウクライナをたたきのめし、地上から消し去らねばならない。ある著名な退役軍人は動画でプーチンに直訴した。「親愛なるVV(プーチンの愛称)、どうか決めてください。本格的に戦うのか、それとも自慰行為をするのか」
軍人たちは陰では戦略を変更したプーチンをもっと口汚く罵っている。プーチンが政権の座に就いてからこの2022年、シロビキ(軍や情報機関のエリート)が彼に不満を抱いたのはこれが初めてだ。
だがプーチンがウクライナの大半を制圧するか、徹底的に破壊して二度と欧米に近づかないようにする気なら、ロシア最強の勢力、砲弾と核を持つ勢力が全面的にバックアップするだろう。
西側の制裁がロシア経済を締め上げている? いやいや、ルーブル相場は私がロシアを去った日より75%上がっている。侵攻前日と比べてもほぼ30%の上昇だ。ロシアの資本規制は段階的に解除されつつある。それを支えるのはエネルギー価格の高騰だ。ロシアのエネルギー産業は侵攻前より儲かっていて、ロシア政府の税収は大幅に増える見込みだ。
ロシア軍の残虐行為にもかかわらず、世界の大半の国々はウクライナにもロシアにも味方していない。3月に国連総会でロシア非難決議が採択された際、棄権に回った35カ国のほぼ半数はこのアフリカ勢が占めた。
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