コラム

トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな理由

2025年12月13日(土)16時20分
トランプ

韓国でのAPECに合わせて会談した米中首脳(10月30日) EVELYN HOCKSTEINーREUTERS

<関税をめぐる米中対立を経験したトランプは、そこで中国についてあることを学んだのだ...>

トランプ米大統領の支持率は驚くほど安定しており、めったに変動しない。だが、米マーケット大学が発表した新たな世論調査では4ポイントの大幅な低下を記録した。トランプ政権下では異例の急落だ。

主な要因は無党派層の支持率が10ポイントも低下したこと。その原因は、明らかに経済への懸念だ。トランプの経済政策への支持率は有権者全体でも43%から36%に、支持層でも82%から75%に低下した。米国民の最大の関心事はアフォーダビリティー(生活費の負担軽減)であり、トランプの生活費対策を評価する米国民は26%にすぎない。


この経済政策への支持率低下が、日本と中国の軋轢に対するトランプの姿勢を理解するための最も重要な背景だ。トランプは日中関係悪化を望んでいない。関税をめぐる米中対立を経験したトランプは、中国には想定以上に多くのカードがあることを悟った。トランプには、支持率低下の局面で世界貿易を不安定化させる余裕はないのだ。特に国内物価に最も影響のある国(中国)との間では。

トランプは11月25日の電話会談で高市早苗首相に対中関係で自制を求めたが、新首相への好感度が下がっていないことは明らかだ。トランプは高市に対し、対中強硬姿勢の撤回を要求することは一切なかった。

それでもトランプが国内経済に敏感になっていることを考えれば、日本側が懸念を抱くのも無理はない。トランプ政権は有利な貿易協定を切望するあまり、台湾問題で軟化するのではないかという懸念だ。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米FOMC声明全文

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRBが金利据え置き、2理事が反対 利下げ再開時期

ワールド

米財務長官、次期FRB議長人選巡りトランプ氏と時間
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 4
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story