コラム

リベラルであり保守である、カリフォルニアのイメージ

2016年11月24日(木)15時13分

From David Ingraham @dayzdandconfuzd

<イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」のように、地元出身者より余所者のほうがむしろカリフォルニアらしさを表現できる。オレゴン生まれ、ミシガン育ちのデーヴィッド・イングラハムも、まさにその1人だ>

 カリフォルニア、とりわけロサンゼルス(LA)には、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」のイメージが世代を超えてつきまとう。メンバーの多くは中西部やテキサスから来ているのに不思議だが、それも当然かもしれない。カリフォルニア育ち、少なくとも南カルフォルニアの出身者が存在しなかったが故に、むしろカリフォルニア人以上にカリフォルニアらしい、あの甘く切なく、乾いた暗いサウンドが生まれたのだ。南カリフォルニアは、外見はリベラルでカジュアルだが、内面は保守的な土地だ。

 本職がロック・ミュージシャンである51歳の写真家、デーヴィッド・イングラハムも、そうした意味でハイブリッドなカリフォルニアのイメージを創り出している。長年LAをベースにしているが、オレゴン生まれ、ミシガン育ち。そのため、カリフォルニアの強烈な陽光を作品に取り入れながらも、同時にハードボイルド、あるいは犯罪映画のフィルム・ノワールの要素をごく自然に絡らませている。倦怠、退廃、緊張感が写真作品の中に漂っているのだ。

【参考記事】 NY音楽シーンの熱気を伝える、撮影者と被写体の信頼感

 彼のスタイルをカテゴリー分けすれば、ストリート・フォトグラフィーにあたる。ただ、その最たる醍醐味のひとつである、あるがままのものをあるがままのものとして切り取るそれではない。iPhoneとインスタグラムの登場以来、さまざまなアプリケーションが誕生しているが、そうしたポスト・プロダクションのアプリを使った作品だ。

「自分の作品はフォトジャーナリズム、フォトドキュメンタリーではない。フィクションの現実だ」と彼はいう。

What now, America? #darktimes

David Ingrahamさん(@dayzdandconfuzd)が投稿した写真 -

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え

ビジネス

焦点:米中貿易休戦、海外投資家の中国投資を促す効果
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story