コラム

美しいボディ・パーツが発するメッセージ

2016年07月25日(月)16時03分

From ornellaascolese @or.nella

<顔を映さず、人間のボディ・パーツを写真に収める南イタリア出身のファッション・デザイナー、オルネラ・アスコレセ。特別な目的が何かあるわけではなく、写真は自分の分身だと彼女はいう>

 人間のボディ・パーツは、それのみでメッセージを持っている。むしろ、直接的に顔を映し出さない分、イメージはミステリアスになり、時として内面的な魅力をより解き放ってくれる。南イタリア出身のオルネラ・アスコレセは、インスタグラムでそうした美学を探求している写真家だ。本職はベテランのファッション・デザイナーである。本格的に写真を始めたのは5年ほど前という。

 作品は、大半が白黒写真だ。退廃的で官能的である。が、よくこの手の写真家が落ち入りがちな押し付けがましさはない。むしろ、ふとした日常の中に存在し、たぶん誰もが持っている、だが見落としがちな感覚と視覚美を表している。それは、時に他人のボディ・ポートレイトだったり、あるいは、自らのそれだったりする。ただ、彼女自身にとって、セルフポートレイトであるか、あるいは他人のポートレイトであるかは二の次だ。作品を通して自らのヴィジュアル感覚を表したいだけという。

【参考記事】拒食症、女性器切断......女性の恐怖・願望が写り込んだ世界

 それは、彼女の写真哲学にも、いやその"非存在性"によく表れている。写真を通して達成したい何か特別な目的があるのか、と訊いたが、そんなことは考えたこともない、という答えが返ってきた。写真は自分の分身であり、ちょうど目の前にある一切れの紙にふとドローイングしてしまうようなものだ、という。単に小さな頃からヴィジュアル・パーソンだった、と。

Tanzproben | 2

ornellaascoleseさん(@or.nella)が投稿した写真 -

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 8
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「こんなのアリ?」飛行機のファーストクラスで「巨…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story