コラム

トランプの政策に日本の現状を重ねて共感するのは、とんだお門違い

2025年02月12日(水)15時00分

アメリカの「忘れられた人々」というのは、国の全体が21世紀型の知的高付加価値産業に最適化していく流れに乗り遅れた人々です。しかも学び直しという屈辱に甘んじるのはイヤだから「アメリカの歴史を反転」させて「自分の名誉が回復」できるようにして欲しいという無茶を言っているわけです。つまり、悪いのは自分たちなのです。

ですが、日本の場合は国の制度の全体、つまり教育や人事制度から、対面+紙の事務カルチャーまでが21世紀型の知的高付加価値産業とミスマッチを起こしていました。そして、ビジネス社会ですら準英語圏になっていません。むしろ伸び代ということでは、多様な文化を内包した地方の方に可能性があるのです。つまり悪いのは、全体であり、強いて言えば東京が悪いという構造があります。

そう考えると、石破首相が日本の地方の経済的苦境と、アメリカのラストベルトとの間に共通点を見いだすというのは、間違っていると思います。この石破発言については、正に外交上の儀礼の一部ですから、それ以上でも以下でもないのだとは思います。ですから深追いはしませんが、とにかくトランプ大統領が政治的求心力とするために使っているイデオロギーの多くは、日本では適用不可能なものだと思います。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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