- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- トランプの政策に日本の現状を重ねて共感するのは、と…
トランプの政策に日本の現状を重ねて共感するのは、とんだお門違い
アメリカの「忘れられた人々」というのは、国の全体が21世紀型の知的高付加価値産業に最適化していく流れに乗り遅れた人々です。しかも学び直しという屈辱に甘んじるのはイヤだから「アメリカの歴史を反転」させて「自分の名誉が回復」できるようにして欲しいという無茶を言っているわけです。つまり、悪いのは自分たちなのです。
ですが、日本の場合は国の制度の全体、つまり教育や人事制度から、対面+紙の事務カルチャーまでが21世紀型の知的高付加価値産業とミスマッチを起こしていました。そして、ビジネス社会ですら準英語圏になっていません。むしろ伸び代ということでは、多様な文化を内包した地方の方に可能性があるのです。つまり悪いのは、全体であり、強いて言えば東京が悪いという構造があります。
そう考えると、石破首相が日本の地方の経済的苦境と、アメリカのラストベルトとの間に共通点を見いだすというのは、間違っていると思います。この石破発言については、正に外交上の儀礼の一部ですから、それ以上でも以下でもないのだとは思います。ですから深追いはしませんが、とにかくトランプ大統領が政治的求心力とするために使っているイデオロギーの多くは、日本では適用不可能なものだと思います。

アマゾンに飛びます
2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら