プレスリリース

三菱UFJ信託銀行、リコー、メジャメンツの3社が共創 「株主総会リアルタイム字幕」サービスを提供開始

2025年04月18日(金)11時15分
三菱UFJ信託銀行株式会社(取締役会長:長島 巌、以下 三菱UFJ信託銀行)、株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃、以下 リコー)、株式会社メジャメンツ(代表取締役:上濱 直樹、以下 メジャメンツ)は、株主総会をオンライン配信する際にリアルタイムで字幕を提供する「株主総会リアルタイム字幕サービス」(以下 本サービス)の提供を開始しました。


1. 本サービス共創の背景
(1)変化する株主総会
2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。それに伴い、株主総会においても障害を持つ株主が総会に参加できる環境整備が求められています。

メジャメンツのアンケート調査*1によると、実際の当事者からは以下の通り、株主総会の参加にハードルを抱えていることがうかがえます。
「(株主総会に)行けない。聞こえない(ので参加しない)」(40代女性)
「(株主総会について)内容が理解できるか分からず参加する勇気が出ない」(40代女性)
民間事業者は、障害者からの要望の声を受けてから対応するだけでなく、自ら環境整備に努める姿勢が求められています。

(2)アクセシビリティをより向上させる字幕サービス
株主総会ではかねてより、聴覚障害者向けの施策として手話通訳を用意する等の取り組みがされてきました。しかし、国内の聴覚障害者において手話を利用しているのは11.1%ほどとなっています *2。よって、手話通訳だけでは不十分であるという意見もあります。そこで、株主総会では「リアルタイム字幕表示」が実効性の高い施策として、聴覚障害の当事者から求められています。
また、字幕を用意することで、聞こえづらさがある高齢の株主に対しても、アクセシビリティを向上させることが可能です。

(3)株主総会に字幕を導入する企業は増加傾向
2024年度6月、三菱UFJ信託銀行が提供する株主向けオンラインサイト「Engagement Portal」において総会ライブ配信を行っている企業(105社)の中で、外部ツールなどを使用して字幕を導入した社数は13社でした(当社調べ)。2023年度から比較すると倍以上増えており、2025年度も字幕導入に関する問い合わせ件数は増加傾向にあります。
そこで、三菱UFJ信託銀行、リコー、メジャメンツの3社は新たな字幕サービスを開発し、2025年4月より、三菱UFJ信託銀行に株主名簿管理業務を委託する企業向けに提供を開始することといたしました。


2. 本サービスの特長
(1)AIと人のハイブリットで作る「株主総会リアルタイム字幕サービス」
字幕表示の活用では、自動でテキストを文字起こしする、AI音声認識エンジンの利用が増加しています。しかし、AIの活用だけでは総会における発話をすべて正確に表現しきれず、誤字や脱字が表れてしまいます。メジャメンツ社の「株主総会リアルタイム字幕サービス」では、AI音声認識エンジンを利用した字幕に対し、修正スタッフが誤字の修正をおこない、より正確な情報を伝えるサービスとなっています。

(2)独自の修正作業のトレーニングを受けた障害当事者スタッフが修正を担当
特徴としては、メジャメンツが運営している障害者専門クラウドソーシングサービス「サニーバンク」に会員登録している障害当事者(主に発達障害者や精神障害者)が修正スタッフとして作業を行います。聴覚に障害のある人への配慮を他の障害のある人が対応する(補い合う)環境を構築している点が他社にはない特徴となっています。独自の修正作業のトレーニングを受けた障害当事者スタッフが連携を取りながら誤変換を修正していくことで、素早く、正確性を担保したサービスの提供を可能としています。

(3)株式会社リコーが販売する「聴覚障害者向けコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)」を使用
字幕テキストを生成するシステムは、リコーが提供する「聴覚障害者向けコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)」を使用します。「Pekoe(ペコ)」は、聴覚障害者とのコミュニケーションをサポートする目的で、2022年8月に発売されました。音声を可視化して正しい情報をリアルタイムに伝えることができるコミュニケーションツールで、多くの企業でこれまで得られなかったリアルタイムの正確な情報、双方向コミュニケーションを活用して、聴覚障害がある方が仕事の幅を広げている事例を数多く生み出しています。また、日本デフ陸上競技選手権大会やリコーブラックラムズ東京の試合の実況可視化に貢献するなど、誰もが楽しめるスポーツ観戦環境の構築への取り組みも進めています。
2024年より、株主総会等の大人数での使用を想定した新機能を、3社で共創してきました。


3. 今後の展開
三菱UFJ信託銀行が株主様向けに提供しているオンラインサイト「Engagement Portal」で開催される株主総会において、より多くの企業に本サービスが導入されていくことを目指します。また、株主総会に限らず、株主や投資家を対象とした説明会などでの字幕提供や、リアルタイム字幕サービスに限らず、招集通知や議決権行使等のアクセシビリティ向上に関してもサービス拡張を図っていきます。

*1 同社サービス「サニーバンク」会員を対象に2025年1月実施
*2 出典:厚生労働省「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」から独自算出


【Appendix】
■メジャメンツについて
メジャメンツはウェブサイトコンサルティングやアクセス解析支援、ウェブアクセシビリティ診断を行うコンサルティングファームです。2018年に障害者専門クラウドソーシングサービス「サニーバンク」サービスを開始し、「障害者だからこそ出来る仕事」「障害者でもやりたい仕事」を創出するためにクラウドソーシングシステムの整備・拡大に取り組んでいます。また、2022年10月に有料職業紹介業も開始し、障害者雇用支援も行っています。

■株式会社リコー「聴覚障害者向けコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)」について
株式会社リコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS」から生まれた、聴覚障害者向けコミュニケーションサービスです。専用アプリをダウンロードし、記録開始を実行するだけで文字化することが可能です。共有URLを発行すれば、複数人でPekoe(ペコ)を利用することができます。音声認識AIによる自動音声認識と、誤変換をその場で修正できる機能など、双方向コミュニケーション機能を搭載した「みんなで使えるツール」となっています。インキュベーション期間を経て、2025年度からはリコーデジタルサービスBUのもと事業拡大を加速させます。

「Pekoe」公式サイト : https://pekoe.ricoh/
「TRIBUS」公式サイト: https://accelerator.ricoh/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中