プレスリリース

【グローバル市場調査】自動車メーカーがUI/UXへの投資を強化 背景にはSDVへの関心の高まりも

2023年06月08日(木)10時30分
フィンランド エスポー 2023年6月8日 - 自動車メーカーが、競合他社の技術革新への長期的な対策や市場シェア拡大のために、製品開発予算をユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の改善に再配分をしていることが、Qt Group(Nasdaq Helsinki:QTCOM)の独自調査によって判明しました。同時に自動車業界は世界経済の厳しい状況にさらされています。

今回の調査結果では、今後12か月の製品開発予算のうちのUI/UXに向けた用途について、半数以上(52%)の回答者が30%以上を、23%の回答者はさらに多く40-49%を割り当てる予定であることが判明しました。その一方、昨年中に30%以上の製品開発予算をUI/UXに割り当てた回答者は25%にとどまり、UI/UXとビジネスの成功の関連性が強く認識され始めていることを読み取ることができます。

しかしながら回答者は、世界的な不況やインフレなどの経済状況が、自動車業界における製品開発に悪影響を与えていると考えています。自動車メーカーのおよそ36%が利益率の低下について、43%が製品価格を上げる必要があったことについて言及しています。

Qt Group自動車産業ビジネスおよび設計の責任者であるMiao Luoは次のように述べています。「利益率が厳しい状況にもかかわらず、自動運転、拡張現実、知覚的UXなどへの移行に見られる自動車のデジタル化の拡大は、自動車メーカーがソフトウェアスタック全体を所有したいというモチベーションを高めています。自社のプラットフォームをコントロールしたいという欲求が、UI/UXへの投資増加の背景にあると見られます。ソフトウェアと自動車のHMIが自動車業界とその成長のために本質的に重要になってきていることが如実にあらわれています。」

自動車メーカーが厳しい状況に置かれている中でも、技術革新は加速し続けています。事実、27%の自動車メーカーが、競合他社の技術革新がUI/UXの改善への投資の大きな要因になっていると回答しています。自動車のUI/UXの開発や強化のために投資が増えている技術は、デジタルツイン技術(32%)、バーチャルアシスタント(29%)、コンパニオンデバイス(27%)、コンパニオンアプリ(23%)拡張現実・仮想現実(23%)でした。

何が技術革新の妨げになるかについては、回答者のうち34%がソフトウェアの維持管理と更新の要件が、革新的なUI/UXを提供するための最大の障壁であると考えています。自動車メーカーは高度なコンピュータープラットフォームやデバイスをさらに利用して、車載ソフトウェアのニーズに対応しています。中には、コンシューマーグレードのSoC(システム・オン・チップ)やOSにまで踏みこむメーカーもあります。数多くの異なるシステムがある中で、自動車メーカーはすべてのソフトウェアを自動車のコックピットに統合するという課題に直面しています。

この課題への対応として、自動車メーカーの回答者は多数のソリューションを導入していると回答しています。26%がクロスプラットフォームの開発ツールを導入して、多種多様な環境の中で、運用効率の向上やソフトウェアの更新や導入の統合を行っています。30%がソフトウェアの書き直しを行い、34%が製品ラインの効率化を行っています。

Miao Luoは次のように述べています。「自動車業界の大多数がUI/UXの革新が現在の市場での成功要因であると認めているものの、このプロセスを管理することは自動車メーカーの課題となります。メーカーが新しいUXを導入する際、新しい追加ハードウェアを購入せずに、既に道路を走っている自動車のソフトウェアを更新ができることが必要です。だから、自動車メーカーが未来の自動車のHMIを設計するとき、適切なツールでサポートする必要があるのです。クロスプラットフォーム開発ツールとフレームワークはこの点で、デバイスメーカーをサポートすることができます。
一度だけ設計と開発をすれば、テスト、導入はどこでも、すべてのブランドと構成で行うことができるようになり、効率を向上しながら、製品の市場投入までの期間は短縮できるのです。

調査レポート(英語版)はこちらからダウンロードできます。
https://www.qt.io/resources/embedded-ux-megatrends


【本調査について】
この調査は、英国、米国、フランス、ドイツの、自動車、ヘルスケア、家電、産業オートメーションの組み込みデバイス製造業250社を対象に、Qt Groupの依頼を受けたCensuswide社が2022年の12月に国ごとに実施しました。


【Qt Groupについて】
Qt Group(Nasdaq Helsinki:QTCOM)はグローバルなソフトウェア企業です。産業界のリーダーと150万人を超える世界中の開発者が信頼を置き、ユーザーに愛されるアプリケーションやスマートデバイスを作成しています。UIデザインやソフトウェア開発から品質管理と導入まで、製品開発サイクル全体を通してお客様の生産性向上を支援します。Qt Groupのお客様は70以上の業界で180か国以上に広がっています。Qt Groupの従業員数は世界で約700名、2022年の売り上げは1億5,530万ユーロでした。より詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.qt.io/ja-jp/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 10
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中