- HOME
- Picture Power
- 【写真特集】香港から脱出した写真家が最後に描いた …
【写真特集】香港から脱出した写真家が最後に描いた 今はなき故郷
Photographs by WONG CHUNG-WAI
「西環泳棚(サイワン・スイミングシェッド)の桟橋で夕日を眺める少女」
<香港国家安全維持法(国安法)施行後、中国の統制強化は加速。香港脱出前に撮った故郷で過ごした最後の日々>
2021年5月に家族と共に香港を離れ、イギリスに渡った写真家の王仲偉(ウォン・チュンワイ)は出発までの半年間、持ち出すことのかなわない故郷・香港をカメラに収めることにした。
新刊写真集『香港アフター香港』に、世界有数の人口過密都市を象徴する人混みは見られない。王は孤独な人影、閉ざされた扉などを、自らのアイデンティティーと重ね合わせながら、郷愁と惜別の思いを込めてすくい取った。この街を内側から描き、細部まで自分の中に刻むことができるのはこれが最後だから。中国の統制強化を背景に、特別ビザでイギリスへ脱出する人は、26年までに推定25 万~32万人に上る。
香港よ、さようなら。
両親が中国から香港へ逃れたように、王も祖国を逃れた。王がいた香港があるのは、もう写真の中だけだ。
Photographs: ©Wong Chung-Wai, from "Hong Kong After Hong Kong" published by GOST Books
(右)「アシュレイ カトリックの中学生」
この筆者のコラム
【写真特集】霊峰・富士が映し出すニッポンの姿 2024.05.30
【写真特集】写真の力で混迷を増す世界を捉えて 2024.04.27
【写真展】情景の「やまびこ」が日本とカナダで共鳴する 2024.04.03
【写真特集】青いシートが可視化した 不可視の人々 2024.01.23
【写真特集】ウクライナ戦争、フォトジャーナリスト93人の証言 2023.11.10
【写真特集】相撲少女の情熱に魅せられた写真家の切なる願い 2023.10.27
【写真特集】香港から脱出した写真家が最後に描いた 今はなき故郷 2023.10.25