Picture Power

【写真特集】埋もれゆくシベリア「骨の道」の記憶

ALONG THE ROAD OF BONES

Photographs by EMILE DUCKE

2021年01月16日(土)15時00分

総延長距離2000キロに及ぶロシア連邦道路R504(通称コリマ道路)はスターリン時代に強制労動を科された政治犯たちによって建設された

<スターリン時代、この道を通って100万人を超える政治犯が強制労働収容所へと送られ、その多くは過酷な労働で命を失った>

ppsiberia-map.jpg冬の平均気温がマイナス38度にも達するロシア極東のコリマ地方。スターリン時代、ここには政治犯の強制労働収容所があり、彼らの多くは過酷な労働で命を失った。大規模な道路建設もその1つだ。

「骨の道」と呼ばれるようになったこの道路(冒頭写真)は、ヤクーツクの対岸の町と港町マガダンを結ぶ。道路が完成すると100万人を超す新たな囚人が連行され、金やすず、ウランなどの採掘を強いられた。美しくも過酷な自然が広がるコリマへの道は、人生最後の旅路となる。

スターリンが1953年に死去すると収容所は閉鎖されたが、「高給」のうたい文句に誘われて採掘現場にやって来た人々は、ここに生活の基盤を築いた。その彼らが今、過酷な環境にあるこの地を後にし始めている。

「骨の道」と収容所の歴史は第2次大戦の勝利で覆い隠された。そして今、人々がこの地を去ろうとするなかで、廃墟となった収容所はその過酷な記憶とともに深い雪の中へと埋もれていく。

ppsiberia02.jpg

政治的冤罪で9年間収容されたアントニア・ノボサドが当時の写真を手にする


ppsiberia03.jpg

収容所時代のノボサドの同僚たち


ppsiberia04.jpg

ブトゥギチャグにある強制労働収容所の廃墟(政治犯たちは核兵器開発に使われるウランの採掘も行った)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送米GDP、第1四半期+1.6%に鈍化 2年ぶり

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story