ISがモクスクワテロの犯行声明を出してもプーチンが「ウクライナ犯行説」にこだわる3つの理由
②国際的なイメージ戦略
第二に、プーチン政権は外交的にも、「ロシアが国外のイスラーム過激派から狙われた」ことを否定しなければならない立場にある。
これまでロシアは国内のチェチェンなどでイスラーム過激派を苛烈な攻撃で鎮圧してきたが、これはイスラーム世界全体からするとマイナーな問題であり続けた。
むしろ、アルカイダやISなど国際的なイスラーム過激派組織の主な標的はアメリカをはじめ欧米各国だった。
その背景には、パレスチナ問題でアメリカが一貫してイスラエルを支援してきたことに加えて、湾岸戦争(1991年)やイラク侵攻(2003年)などがイスラーム世界全体で反米感情を醸成してきたことがある。
また、近年では「表現の自由」との関連でフランスがとりわけ反感の対象にもなりやすく、それに比例してテロも頻発している。
つまり、イスラーム過激派はもともとイスラーム世界に広がっていた反欧米感情を勢力拡大に利用してきたわけで、イスラーム過激派が登場して初めて反欧米感情が生まれたわけではない。
だからこそ、イスラーム過激派がアメリカやその同盟国を標的にテロ攻撃をすることは、欧米と対立するロシアにとって、「中東における欧米の不当な行い」を非難する理由づけにもなってきた。
ところが、モスクワのコンサートホールを襲撃したIS-Kはアメリカよりむしろロシアを敵視する。
IS-Kはチェチェンや中央アジアなど、もともとロシアに批判的なムスリムが多い地域に勢力を広げるため、「ロシアこそイスラーム弾圧の中心」といったメッセージを頻繁に発信してきた。
IS-Kは今回の事件で一躍世界にその名を轟かせたが、その結果IS-Kの反ロシア的メッセージも広く知られることになった。
ところで現在のロシアは欧米との対抗上、グローバルサウスへのアプローチを強化しているが、そのなかには中東などムスリムの多い地域も含まれる。
この状況で「国外のイスラーム過激派から標的にされている」ことは、「イスラーム世界に反ロシア感情が広がっている」という認知にもなる。それが進めばグローバル・サウスで「ロシアもアメリカと同じ」という論調が支配的になりかねず、国際的な足場を固めたいロシア政府にとっては外交的な損失になる。
だとすれば、「真犯人は他にいる」というストーリーが必要で、そこで最も適当なのがウクライナということになる。
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