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退職者が続出する企業には「セルフ・キャリアドック」が必要だ
社員の仲が良すぎると退職者が増える理由
例えば、中途入社者がなかなか定着せず、短期間で辞めてしてしまうことが多い会社があり、キャリアコンサルタントが、複数の中途入社者から「この会社は社員の仲が良すぎて、なかなかその輪に入りづらい。転職してきた人には居場所がない感じがする」という話を聞いたとしよう。
その場合、キャリアコンサルタントは、中途入社者の受け入れ方を工夫するようにアドバイスするのだ。
社員同士の仲が良いことは、決して悪いことではない。逆に良いことだから、そこに問題があるとは気づきにくいのだ。まさか、仲が良すぎることが原因で中途入社者が辞めていくとは、従業員満足度調査の結果だけでは想像できないだろう。
また、構造的に他の部署と仕事の連携がとれなくて従業員満足度が低かったり、業績が伸び悩んでいる場合も、話を聞けばすぐに分かる。
「企画部に言っても、結局、現場のことは無視されるんですよ」
「隣の部署の課長は、結局、自部署の利益しか考えていないんですよ」...
そんな話を聞けば、キャリアコンサルタントは、経営者や人事部に組織間の壁を壊すための施策導入を提案する。キャリアコンサルティングは、業績の伸び悩みや個人のやり甲斐・満足度などを阻害している組織内の問題を解決するための「組織開発(Organization Development)」につながるのだ。
溝を埋められないと、大切な「幹部候補」が辞めていく
また、視点の差から生まれるギャップで言うと、経営者が将来の幹部候補として期待している人が、人事異動の意図を理解できずに辞めていく事実がたくさんあることをご存じだろうか。
例えば、本社の企画部門で活躍している人に、将来のために現場も理解してほしいからと支店への転勤を命じる。上司にその旨を説明されても、本人は上司に対しては「分かりました」と言うが、内心は疑心暗鬼で、そんな時、人材会社から良い求人を紹介されると、心が動き転職してしまう。
本当によくある事例だ。筆者は、とてももったいないと思う。
企業との契約による「セルフ・キャリアドック」としてキャリアコンサルティングを行う場合、社内の情報も詳しく把握できるので、経営者視点と働く側の視点の差によるギャップを埋めるための気づきを、企業に対して与えやすい。
ギャップが埋まれば、辞める必要はなくなる。多くの会社でギャップが埋まれば、退職する人をもっと減らせるはずだ。もちろん、きちんと従業員のことを考えた経営をしていることが前提での話ではあるが。
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