日米関税交渉、日本は「取りあえずの勝ち」だが...待ち受ける「今後の交渉」の内容とは?
トランプから譲歩を引き出した意義は大きいものの
皮肉なことだが、石破政権が参院選で大敗したことから、早期に日本と交渉をまとめないと政権が代わってゼロからのスタートになる懸念が生じたことも決断を後押ししたと考えられる。
複数の偶然が重なったとはいえ、強硬なトランプ氏から大きな譲歩を引き出した意義は大きい。最終的にこの水準で落ち着かせることができれば、戦後の日米通商交渉の中で最も成功した部類に入れてよいだろう。
日本側は、自動車の関税を12.5%まで引き下げてもらう代わりに、アメリカに対して総額80兆円の投資を実施しなければならない。具体的な中身は十分に決まっているとはいえず、個別の案件において、本当の意味でどちらの利益となるのかは、今後の実務交渉に委ねられる。
トランプ氏としては、譲歩した分を取り戻すべく、投資案件についていろいろと厳しい注文を付けてくるに違いない。
これまでのやりとりは、今後も継続するシビアな関税交渉の緒戦という位置付けであり、日本は第1ラウンドで勝利したにすぎない。今後は詳細条件をめぐる第2ラウンドが始まると考えたほうが自然だ。