コラム

ミスド「500店舗調理廃止」は外食産業シェア化の幕開け

2017年04月04日(火)18時18分

業態を越えたシェアリング・エコノミーに発展する可能性も

ミスドにとっては、若年層人口の減少と消費の低迷による市場の縮小、さらには人手不足というトリプルパンチとなっている。すき家は、中高年以上の顧客も多いので、人手不足の影響が顕著に出たが、ミスドのような業態は雇用する店員も、来店する顧客も若年層が多かったことで、両方の影響が顕在化したとみてよい。

同じような現象は若年層の利用が多いファミレスでも散見される。昨年末、「ガスト」や「ジョナサン」を運営する「すかいらーく」が深夜営業を大幅に縮小すると発表。ロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスも24時間営業の廃止を決定した。

【参考記事】アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?

両社の取り組みについては、政府の働き方改革を受けて従業員の労働環境を見直すというトーンの報道が多かったが、現実は少し異なる。消費の低迷と若年層人口の減少によって来店する顧客が減少し、深夜営業の採算は大幅に悪化していた。これに加えて夜勤に応じてくれる店員の確保も難しくなってきたことから、深夜営業の廃止を決断したというのが実態である。ミスドと同様、消費の低迷と若年層人口の減少があらゆる面に影響を及ぼしている。

これまでは主に若年層人口の減少だけだったが、今後は総人口の減少が本格化してくる。日本経済の仕組みが抜本的に変わらない限り、消費の低迷は長期にわたって継続するとみてよいだろう。今回のミスドにおける事業構造改革は、こうした状況にいち早く対応した結果といえる。

近隣のエリアに店舗を集中させ、商品を近隣店舗で融通することでコンパクトな運営を行うミスドの新しい体制は、ひとつの会社内に限定されているとはいえ、一種のシェアリング・エコノミーと考えることができる。今後は、企業や業態を超えて商品を融通し、近隣の外食店舗群でひとつの共同体を形成するような動きが広がってくるかもしれない。

【参考記事】コストゼロ&シェアの時代のマネタイズ戦略

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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