コラム

ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年の恨み」の正体

2025年05月01日(木)10時36分
ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを突き動かす100年の恨みの背景

VYACHESLAV PROKOFYEVーSPUTNIKーPOOLーREUTERS

<30年戦争、100年戦争の故事が頭をよぎる...歴史の中で積み重なった西側への怒り。経済、社会が揺らごうがプーチンは止まらない>

ロシアとウクライナの間で2022年2月から続く戦争について、日本では「戦争だけはいけない。とにかく戦うのをやめて」との意見が目立つ。

だがこの戦争は、100年ほどの歴史で積み重なった恨みつらみが噴き出したものなので、簡単には止まらない。この戦争は、1991年12月にソ連という大帝国が崩壊した後の余震、それも最大の余震なのだ。

ロシアとウクライナは人種的・言語的にほぼ同族なので、34年前のウクライナ独立はロシアにとって大打撃だった。そのウクライナが2013年にEU、ひいてはNATOに傾く姿勢を見せた時、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はさらなる衝撃を受けた。


プーチンの対NATO、対米警戒心は、われわれには理解し難い。しかしそれは、1917年のソ連成立以来の関わり合いの結果なのだ。

当初、欧米の資本主義国が共産主義ソ連をつぶそうとかかったのに対し、ソ連は第1次大戦の敗戦国ドイツと組んで身を守った。

そのドイツが敵に転じてソ連を侵略してくると、今度は今のウクライナさながらにアメリカから巨額の軍事・経済支援を受けて押し返す。ところが戦後、スターリンは恩をあだで返し、東欧諸国を自陣営に組み込んだ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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