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豪の難民ナウル移送、秘密裏の実施を懸念=人権委

2025年10月29日(水)14時47分

 10月29日 オーストラリア人権委員会は29日、犯罪歴のある外国人を数十億ドル規模の協定に基づいて太平洋の島国ナウルに強制移送した初めてのケースについて「深刻な人権上の懸念」を提起していると表明した。写真はナウルのアデアン大統領。2024年9月、ニューヨーク市で撮影(2025年 ロイター/David Dee Delgado)

Kirsty Needham

[シドニー 29日 ロイター] - オーストラリア人権委員会は29日、犯罪歴のある外国人を数十億ドル規模の協定に基づいて太平洋の島国ナウルに強制移送した初めてのケースについて「深刻な人権上の懸念」を提起していると表明した。

オーストラリアは先月、強制移送する外国人数百人を受け入れる見返りに、今後30年間で25億豪ドル(16億米ドル)をナウルに支払うことに同意。人権団体からアルバニージー首相率いる中道左派政権が難民を小島しょ国に「遺棄」しているとの批判が上がり、トランプ米大統領の移民政策と比較されている。

オーストラリアは、密航阻止を目指す10年来の政策に基づき、ボートで到着した難民申請者を難民認定審査のためオフショアの収容施設に送るとともに、ビザ(査証)発給を拒否している。

ナウルは、今月の総選挙で再選されたアデアン大統領が先週、30年ビザで最初のグループを受け入れるため、オーストラリアから3億8800万豪ドルを受け取ったと発表した。人口1万2000人、面積わずか21平方キロメートルのナウルは、海外からの援助に依存している。

オーストラリア人権委員のロレイン・フィンレイ氏は声明で、最初の強制移送は秘密裏に行われ「不穏な透明性の欠如を露呈し、深刻な人権上の懸念を提起した」と指摘。「国連人権委員会が明確にしているように、亡命希望者や難民の管理を外部委託することで国の法的責任が免除されるわけではない」と述べた。

オーストラリア人権委員会は、同国が国際人権公約を履行しているかを精査する独立機関。

ロイター
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