マクロスコープ:公明が連立離脱、政界の勢力図激変 高市トレード「非常にマイナス」と専門家

10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表は、自民党の高市早苗総裁と会談し、自公連立政権から離脱する方針を伝えた。写真は2014年12月撮影(2025年 ロイター/Yuya Shino)
Tamiyuki Kihara Yoshifumi Takemoto
[東京 10日 ロイター] - 公明党の斉藤鉄夫代表は10日、自民党の高市早苗総裁と会談し、自公連立政権から離脱する方針を伝えた。26年間続いた自公の枠組みが崩壊し、政界の勢力図は大きく変化する見通しだ。専門家は新総裁就任に沸いた「高市トレード」にとって「非常にマイナスだ」と指摘している。
一方、自民が高市氏の首相指名に向けて国民民主党や日本維新の会との距離をさらに詰めれば、政策面で積極財政の旗色がより鮮明になる可能性も出てくる。
<自公党首会談で「離脱」伝える>
10日午後、公明の斉藤氏と西田実仁幹事長は国会内で高市氏、鈴木俊一自民幹事長と約90分にわたって会談し、連立離脱の方針を伝えた。
斉藤氏は会談後、記者団に「我々が最も重視した『政治とカネ』に関する基本姿勢について(高市氏と)意見の相違があった。自民の回答は誠に不十分で極めて残念だ」と述べた上で、「連立政権はいったん白紙とし、これまでの関係に区切りを付けることとしたい」と述べた。
注目は連立離脱後の自民との距離感だ。斉藤氏は今月後半にも予定される首相指名の投票先について「『斉藤鉄夫』に票を投じる」と説明。予算案や法案への賛否については「なんでも反対の敵方になるわけではない。政策ごとに賛成すべきものは賛成する」と語った。今後の選挙協力については「党同士の選挙協力はいったん白紙にするが、人物本位、政策本位で応援できる地域も少なくない」と含みを持たせつつ、「自民候補への推薦は行わない」と宣言した。
公明が首相指名で高市氏に投票しなければ、衆院の議席数では立憲民主党、国民民主党、日本維新の会の合計が自民を上回ることになる。現時点で野党がどこまでまとまるかは見通せないものの、高市氏の首相就任が不透明となることに変わりはない。
<「自民は甘くみた」専門家指摘>
1999年以来続いた関係崩壊の原因について、法政大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)は「高市氏は就任後、公明の支持母体・創価学会へのあいさつより先に国民民主の玉木雄一郎代表と面会したと報じられた。学会員にとっては『何様のつもりだ』となり忍耐の限界だったのだろう」と指摘した。
幹事長代行に萩生田光一氏を起用した点も「(不記載問題で)秘書が在宅起訴された新しい問題を公明は重視している」と説明。「自民は今回、公明内の連立離脱論を甘くみていたところがある。高市氏は慌てて(党役員人事などで)非主流派に追いやった菅義偉元首相らに頭を下げて公明との関係修復を模索し始めたようだが、時すでに遅しだった」と話した。
<国民民主などと連携急ぐ可能性>
こうした状況の下、自民は多数派を確保するために国民民主や維新との連携を急ぐとみられる。
特に高市氏と政策的に近いとされるのが国民民主だ。玉木代表は連携の条件として、ガソリン暫定税率廃止、所得税非課税枠拡大を盛り込んだ昨年12月の3党幹事長合意を履行するよう求めている。高市氏はいずれも前向きとされ、両党の連携は進展する可能性もある。
国民民主は所得税非課税枠の178万円への拡大、企業に投資以上の償却を認める「ハイパー償却税制」の導入、「教育国債」を財源とする10兆円規模の教育・科学技術予算の確保を「新・三本の矢」として掲げている。
高市氏が主張する「責任ある積極財政」と呼応し両党の連携がこうした政策にも及べば、更なる財政拡大は必至だ。
ただ、自民、国民民主のみでは過半数に届かず、維新など他の野党を巻き込む必要もある。維新は副首都構想の実現や社会保障改革を強く打ち出しており、連携の枠組み次第で高市氏は政策面での更なる譲歩を迫られそうだ。
<専門家は「非常にマイナス」「玉木政権ならポジティブ」>
公明の連立離脱による市場への影響を専門家はどう見ているのか。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「野党と公明が国民民主の玉木氏の首相指名で連携すれば野党連立政権が生まれ、高市氏は下野した自民の総裁でしかなくなる」と指摘。「高市氏の経済政策を前提とした金融市場の動きは巻き戻しの流れになるだろう」とみる。
仮に野党連立政権となった場合は「ガソリン暫定税率廃止以外で野党合意は難しく、非常に混乱した野合政権になるだろう」とする一方、「自民政権が継続しても単独政権となり石破茂政権より不安定になる。どちらになっても政権は不安定で、金融市場には非常にマイナスだ」と話す。
SBI証券チーフ債券ストラテジストの道家映二氏は「公明が連立を離脱しても野党が連携し『玉木政権』となれば消費税減税路線で株式市場にはポジティブだ」と指摘。「自民の反高市グループが公明や立民と組み、林芳正官房長官か野田佳彦立民代表を首相に擁立する可能性もあるが、これは株式市場、金融市場にはマイナスに働くだろう」とした上で、「基本的には公明は条件闘争でまた自民との関係修復に向かう可能性があるとみている」と語った。
(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)
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