景気判断は維持、米通商政策の影響で企業収益引き下げ=8月月例報告

政府は27日に公表した8月の月例経済報告で総括判断を「米国の通商政策等による影響が一部に見られるものの、緩やかに回復している」で据え置いた。写真は2023年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Tetsushi Kajimoto
[東京 27日 ロイター] - 政府は27日に公表した8月の月例経済報告で総括判断を「米国の通商政策等による影響が一部に見られるものの、緩やかに回復している」で据え置いた。一方、項目別では企業収益に関する判断を、米通商政策などの影響を理由に、8カ月ぶりに下方修正した。
景気の先行きについては「下振れリスクに留意が必要」との文言を維持し、金融資本市場の変動などの影響に「引き続き注意する必要がある」との表現も変えなかった。
主要項目別では「輸出」、「生産」、「個人消費」、「設備投資」の判断や表現の変更はなかった。
企業収益については、「米国の通商政策等による影響が一部に見られる中で、改善に足踏みがみられる」とし、前月までの、「改善しているが、通商問題が及ぼす影響等に留意する必要がある」から下方修正した。
4-6月期の企業収益(経常利益)について、製造業を中心に改善に足踏みが見られ、特に自動車関連産業の収益悪化の影響が大きいと分析。ハローワークにおける自動車産業の新規求人も減少しており、設備投資や雇用への影響を注視する必要があるとみている。
住宅建設についても、4月に施行された改正建築物省エネ法・建築基準法に伴う駆け込み需要の反動で2桁の大幅減となっている住宅着工戸数を念頭に、「このところ弱含んでいる」とし、これまでの「おおむね横ばいとなっている」から、判断を引き下げた。下方修正は1年11カ月ぶりだった。
※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移は下記リンクをクリックの上、ご覧ください[L4N3UI0GX]