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米韓首脳会談、米軍駐留費など議題に 韓国は核燃料再処理提起か

2025年08月25日(月)11時31分

 韓国の李在明大統領(写真中央)とトランプ米大統領は25日、李氏の大統領就任後初の首脳会談をワシントンで行う。7月ソウルで代表撮影(2025年 ロイター)

David Brunnstrom Idrees Ali Ju-min Park

[ワシントン/ソウル 22日 ロイター] - 韓国の李在明大統領とドナルド・トランプ米大統領は25日、李氏の大統領就任後初の首脳会談をワシントンで行う。安全保障問題や北朝鮮への対応が会談の主な議題となる見込みだ。また韓国側が使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮の容認を求める可能性がある。

ルビオ米国務長官と韓国の趙顕外相は22日にワシントンで会談し、国務省は双方が70年にわたる同盟関係について「持続的で強力であることを強調した」との声明を発表した。

声明によると、両国は「インド太平洋地域で抑止力を強化し、負担の分担を拡大させ、米国製造業の活性化に貢献し、貿易関係の公平性と互恵性を回復し、将来を見据えた議題」について協議。また日米韓の協力の重要性を再確認したと説明した。

韓国外務省の声明によると、ルビオ氏と趙氏は米韓首脳会談の議題で協議したほか、7月に両国が合意した貿易協定を評価し、未解決の問題が一部残っているものの交渉継続を決めた。詳細については明らかにしなかった。

<在韓米軍駐留費 過去に「100億ドル」発言も>

今回の首脳会談で李氏は、韓国に駐留する約2万8500人の米軍駐留経費の大幅な負担増を迫られる可能性が高い。

ある米当局者は、会談の焦点となる重要議題は米軍駐留経費の分担であり、トランプ氏が韓国にさらなる負担増を迫るとの見通しを表明した。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏は韓国が米軍駐留に年間10億ドル超を拠出し、米国外で最大の米軍基地となっている韓国京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズの建設費も負担したとしつつ、「トランプ氏は明らかにさらに多くの負担を求めている」と指摘。過去には韓国に対して50億ドル、さらには100億ドルを支払うように要求したとして「トランプ氏は全ての同盟国に対し、防衛費を国内総生産(GDP)比で5%に近づけることを求めている。韓国は現在3.5%だ」と語った。

韓国大統領府で安全保障政策を統括する魏成洛・国家安保室長は記者会見で「この(負担の)問題は韓国と米国の間で議論されており、具体的な数値などはまだ進行中で、議論の途中にある」と語った。

<核燃料再処理容認を要請か>

趙外相は国会で、米韓首脳会談で、米韓原子力協力協定で禁止されている使用済み核燃料の再処理や、ウラン濃縮を米国側に承認してもらうことを求める可能性があると発言した。

一部の韓国当局者は、ウラン濃縮または再処理の能力を持つことで、手っ取り早く核兵器を製造する手段を構築する「核の潜在能力」の必要性を主張している。

ただ、趙氏は再処理が産業または環境の目的にとどまると話した。

米軍備管理協会のダリル・キンボール氏は、韓国が再処理を始めたり、エネルギープログラムのために国内でウラン濃縮能力を確保したりする現実的な「産業的または環境的」な必要性は全くないと主張。その上で「あまりにも多くの韓国の政治家が、自国が核兵器を手に入れようという考えに魅了されている」と言及した。

<北朝鮮問題>

李氏とトランプ氏は、北朝鮮の核兵器保有問題に関して意見が一致する可能性が高い。両者はともに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との対話に前向きで、トランプ氏は自身のことを世界平和の使者だと頻繁に主張している。

しかし、第1次トランプ政権下のような前例のない外交の再開を北朝鮮は拒否し、ロシアとの関係をさらに強化する方針を示している。

米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」のジェニー・タウン氏は「外交の取り組みと非核化目標を再確認すること以外、北朝鮮についての実質的な発言はほとんどないだろう」との見方を示した。

李氏は21日、日本の新聞に対し、平壌との協議と米国との緊密な協力を通じて、北朝鮮の核兵器プログラムを最終的に解体するための基礎を築くと語った。

北朝鮮は、核兵器について交渉する余地はないと繰り返し主張している。

ロイター
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