米小売業者の年末商戦見通しがまちまち、収益確保に不透明感

ターゲットやホーム・デポなど米小売り大手の売上高や利益の予測がまちまちだ。写真はウォルマート店内。5月15日、カリフォルニア州のオーシャンサイドで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Juveria Tabassum Savyata Mishra
[20日 ロイター] - ターゲットやホーム・デポなど米小売り大手の売上高や利益の予測がまちまちだ。このため投資家の間で重要な年末のクリスマス商戦について、買い物が急増する例年のように今年も大きな収益をもたらすかどうか疑問が生じている。
トランプ米大統領による関税措置の影響でコストが上昇し消費支出が低迷しているため、米消費者の購買力に対する懸念も新たに浮上している。
ターゲットの最高商務責任者リック・ゴメス氏は20日に「見通しが不確実で変わりやすい状況が続いているのを考慮して、今年後半は慎重な計画を立てている」と述べた。
消費財・小売り企業は関税の影響を最も強く受けている業種の一つだ。トランプ氏の貿易政策の先行きが読めず、今後数カ月間に経済成長が鈍化しインフレが上昇するとの懸念もあって、消費者心理の悪化につながっている。
米国の全体的なインフレ率は上昇傾向で、エコノミストは卸売物価が最近急騰しているため消費者物価がさらに上昇する可能性があるのではないかと懸念している。
ここ数週間のうちにアディダスは米国で価格を引き上げた新製品を投入する可能性があると述べ、リーバイ・ストラウスは販売促進活動の規模を縮小すると発表。アンダーアーマーは関税に対応した価格を許容できる消費者向けに商品価格の引き上げを検討している。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「消費者はまだ支出したいと思っているが、積極的に消費していない。一部の企業は数カ月前に関税の影響で価格を引き上げないと述べたのに、口先だけだったことが今や明らかになっている」と語った。
2025年の株式市場は全般的に好調で、S&P500種は8%余り上昇しているが、消費関連銘柄はわずか1%程度の上昇にとどまっている。
一方、TJマックスやマーシャルズを展開するTJXは今年後半の「力強いスタート」を大げさに宣伝した。ホーム・デポは四半期決算で期待外れの結果となり、消費者が高額商品の購入に慎重になっていると理由を説明したが通期予想は維持した。
ターゲットの次期最高経営責任者(CEO)となるマイケル・フィデルケ氏は「消費者はインフレや関税を巡る不確実性を乗り越えようとしている」と述べた。
ターゲットは価格引き上げを「最後の手段」と改めて強調し、ロウズは「価格競争力」を維持すると述べた。
ターゲットは20日、フィデルケ氏を新CEOに指名し業績予測が据え置いた後で株価が約8%下落した。
ロウズの利益は予想を上回ったが、住宅改修に伴う需要が高金利のために依然として低調だと認めた。経営陣は決算発表後、高水準の住宅ローン金利と消費者の慎重姿勢が理由で今年後半も難しい状況が続くと述べた。
ロイターの世界関税トラッカーによると、2月1日以降に関税について何らかの形で対応した企業300社以上のうち、消費関連38社が業績予想を撤回したかまたは引き下げた一方で、42社が価格引き上げについて言及した。