エネルギー大手企業、排出量実質ゼロ戦略の明確化断念=FT

7月22日、世界のエネルギー大手企業のグループは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする戦略を明確に定める取り組みを断念した。英シェルのロゴ、ロンドンで2023年撮影(2025年 ロイター/May James)
[22日 ロイター] - 英石油大手シェルなど世界のエネルギー大手企業のグループは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする戦略を明確に定める取り組みを断念した。戦略の基準として、新たな油田・ガス田の開発を停止することを求める提案が出されたことが背景にある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が22日、関係する書類で確認したとして報じた。
FTによると、シェルとノルウェーの同業エイカーBP、カナダのパイプライン大手エンブリッジは昨年終盤、企業の温室効果ガス排出量削減のための国際的な取り組み「科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)」の専門家諮問グループから脱退した。
SBTiは、石油・ガス業界の基準を設定する取り組みについて「相当な資源集約的」作業が求められるため停止したと確認した。SBTiの広報は、石油・ガス業界の基準設定の取り組みは再開する方針だが、再開の具体的な時期は決まっていないと説明した。
SBTiは今年3月、企業の排出量削減計画の策定を支援するための新たな規則を提案した。
FTによると、SBTiの基準案には、企業は気候変動対策計画を提出以降、もしくは遅くとも2027年末以降は「新たな油田とガス田」を開発すべきではないと明記してある。
シェルは声明で、石油・ガス業界の基準は「現実的な社会および経済の変化」を反映すべきであり、排出量実質ゼロの目標達成へ向け、柔軟な対応を認めるべきだと主張した。