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アングル:共和党州知事、党内混乱で支持候補表明にためらい

3月3日、大統領選の党指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏の勢いを抑えようと共和党関係者が躍起になるなか、31人いる共和党州知事の多くは、党内の混乱に極力関わらないようにしている。写真はトランプ氏。メイン州 ポートランドで撮影(2016年 ロイター/Joel Page)
[ワシントン 3日 ロイター] - 大統領選の党指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏の勢いを抑えようと共和党関係者が躍起になるなか、31人いる共和党州知事の多くは、党内の混乱に極力関わらないようにしている。
現在党指名争いに残っている4人の候補者のいずれかへの支持を表明している州知事は、4日にマルコ・ルビオ上院議員への支持を表明するニューメキシコ州知事を含め、10人にとどまっている。
これは、前回の大統領選時と対照的だ。前回選挙では、最終的に党指名を勝ち取る候補を各州知事がしっかりと支え、早い時期から候補者の選別が進んでいた。
党指名争いが混迷するなか、多くの州知事は党指導部への不満を募らせる有権者からの反感を恐れ、明確な支持表明を差し控えている、と関係者は指摘する。
メリーランド大学のデービッド・カロル教授は「党候補選びのこの段階でほとんどの州知事が支持を表明していない状況は、共和党上層部の中に停滞や分裂があることを示している」と語った。
<多くの州知事は苦しい立場>
ジェームズ・マディソン大学の集計によると、2000年の大統領選挙では、ジョージ・W・ブッシュ前大統領に対して、予備選が始まる前から既に30人中26人の州知事が支持を表明していた。
2012年の選挙では、ミット・ロムニー氏の党指名が確定するまでに、29人中10人の州知事が支持を表明した。
一方、今年の大統領選で各州知事は、有権者に対して明確なシグナルを送っていない。
ルビオ氏支持を表明した州知事は5人。オハイオ州知事のジョン・ケーシック氏は2人、トランプ氏は2人、クルーズ氏は1人。指名候補争いから撤退した人への支持は3人となっている。
ただ、州知事の支持は、指名争いでさほど効果をもたらしていない。ルビオ氏は、サウスカロライナ州とアーカンソー州の知事からの支持を受けているが、両州で負けている。アラバマ州知事の支持を受けたケーシック氏の同州での得票率は4%にとどまった。
逆に、アイオワ州知事は、2月の同州共和党党集会でクルーズ氏に投票しないよう呼びかけていたが、クルーズ氏は同州で勝利した。
今のところ、テキサス州知事のみ勝者を選んでいる。クルーズ氏はテキサス州で勝利を収めた。
トランプ氏への支持をめぐっては、多くの州知事は苦しい立場に立たされている。15日のミシッシッピー州予備選はトランプ氏の快勝が見込まれているが、計画出産や政府支援の医療保険制度など、トランプ氏が掲げる政策の一部は、ブライアント同州知事の保守的な立場と相いれない。
ブライアント氏の関係者によると、同氏は、トランプ氏が党候補となれば同氏を支持する意向だが、どの候補者を支持するかを予備選前に発表するかどうか決めかねているという。
<ルーズ・ルーズの状況>
理論上州知事らは、党指名争いの結果を形作る立場にある。ただ、党主流派の候補が乱立するなか、各州知事が支持する候補者を決めるのは難しくなっており、州知事の支持が指名候補争いの結果を方向付けることはなおさら困難だ。
ニューハンプシャー共和党の元支部長、ファーガス・カレン氏は「政治的にルーズ・ルーズ(双方にとって不利)な状況だ」と指摘した。
メリーランド、フロリダ、ワイオミング、インディアナ、ウィスコンシン、ノースダコタ、サウスダコタ、アリゾナ、ネブラスカ、ミシガン各州の知事は、トランプ氏が党候補に選ばれた場合、同氏を支持するかどうか、明言を避けている。
ユタ、オクラホマ、ノースカロライナ、ジョージア州の知事は、まだ候補者の支持表明をしていないが、トランプ氏が党指名を獲得すれば、同氏を支持するという。
マサチューセッツ州知事は今週、11月の選挙でトランプ氏に投票しない方針を示している。
トランプ氏への支持を表明した知事の状況は複雑だ。先月、指名争いから撤退したニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は、トランプ氏を支持すると発表したことで、激しい非難にあっている。
これまで数カ月におよぶ選挙戦でトランプ氏を批判してきたクリスティー知事だが、先週、一転して同氏への支持を表明した。これを受け、同州の地元紙6紙は偽善的だと批判、辞任を求めた。
(Andy Sullivan記者、翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)