アングル:米株高は「根拠なき熱狂」か、ITバブルとの相違が焦点

10月9日、1996年に金融市場が「根拠なき熱狂」に支配されているかどうかいかに判断するかを世間に問いかけたのは、当時の米連邦準備理事会(FRB)議長だったアラン・グリーンスパン氏だ。ニューヨーク証券取引所で9月さつえい(2025年 ロイター/Jeenah Moon)
Chibuike Oguh Suzanne McGee
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 1996年に金融市場が「根拠なき熱狂」に支配されているかどうかいかに判断するかを世間に問いかけたのは、当時の米連邦準備理事会(FRB)議長だったアラン・グリーンスパン氏だ。この発言をきっかけにその後多くの人は、グリーンスパン氏がITバブルの発生と崩壊を予言した賢者と評価するようになった。
そして今、人工知能(AI)の将来性を巡る期待がエヌビディア、マイクロソフト、オラクルといった巨大IT銘柄のバリュエーションを押し上げ、米国株は何度も最高値を更新する中で、同じような警戒信号が点滅しつつある。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は8日、割高化した株価が大きく調整する可能性が世界経済にもたらすリスクに警鐘を鳴らした。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、今後半年から2年以内に米国株の大幅調整が起きるリスクが高まっているとの見方を示した。
シーバート・ファイナンシャルのマーク・マレク最高投資責任者は「ダイモン氏は現代のグリーンスパン氏のようだ」と評する。
1996年12月に開かれた夕食会でグリーンスパン氏は、一見無害に思える修辞的な問いかけとして「資産価値が不当に高騰している際に、われわれはどうやって『根拠なき熱狂』を把握できるのだろうか」と語った。
市場は即時に反応し、アジア株が3%下落したのを皮切りに、欧州株も下げ、翌朝のS&P総合500種の下落率は2%となった。
ところが数日のうちにこれらの値下がりは帳消しにされ、数週間が経過すると株価は完全に戻しただけでなく、グリーンスパン氏の発言時点より10%も高い水準で推移。結局ITバブルがはじけ、グリーンスパン氏が不気味なほど鋭い予知能力を持つとの評判を得るまでに3年余りがかかった。もっともこの間、グリーンスパン氏の警告を真剣に受け止めた投資家は、100%を超えるリターンを逃したことになる。
<1972年と1999年のブレンド>
LSEGデータストリームによると、足元のS&P総合500種銘柄の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は約23倍と、ここ5年の最高水準に近く、過去10年平均の18.7倍を大きく上回っている。これに対して1999年と2000年のPERは25倍前後だった。
S&Pの情報技術株のPERは30倍で、やはり長期平均の21.4倍より高いが、ITバブル当時は一時48倍まで跳ね上がった。
サーマヤ・パートナーズのワシフ・ラティフ最高投資責任者は、足元のバリュエーションについて、ITバブル破裂直前の1990年代後半の状況と、投資家が特定の大型成長株50銘柄(ニフティー・フィフティー)を追い求めた1970年代前半の状況が混ざり合っているとの見方を示した。
ラティフ氏は、超大型7銘柄「マグニフィセント7」とS&P総合500種の時価総額上位10銘柄は「今の市場において同じようなオーラをまとっているように見える」と述べ、1972年の市場が1999年のように浮かれているようなものだと説明した。
現在のオプション市場では、強気取引の大半は高成長のテック銘柄、とりわけAI投資に関連する銘柄に集中している。
BNPパリバの米国株・デリバティブ戦略責任者を務めるグレッグ・ブートル氏は「この話の核心は、市場参加者がテック銘柄の上値を追っているということだ」と言い切った。
マレク氏は「(1996年の)われわれは市場で起きている現実が全く見えなくなっていた。一部の人は、今われわれが同じ状態に置かれていると主張している」と不安を口にする。
ただ楽観的な見通しを崩さない投資家もいる。ゴールドマン・サックスのアナリストチームは、過去を振り返るとバブルは革新的な技術を巡って醸成される熱狂に主導されるが、現在の株高は事情が違うと分析。その理由として「根拠のない思惑ではなく基調的な成長」に後押しされ、既に足場がしっかりしている幾つかの既存企業がAI分野を牛耳っている点を挙げた。
ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏は、機関投資家の株式保有は拡大しているとはいえまだ中立的な水準だし、個人投資家は現金よりも債券や短期市場により多くの資金を振り向けているという事実も、根拠なき熱狂の妥当性を弱める要因だと言及した。
ハケット氏は「われわれは(投資家に)慢心の兆しがないか注視しているが見当たらず、今回は歴史上最も愛されていない強気相場との考えを強めつつある」と述べた。
B・ライリー・ウエルスの市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、今を1996年になぞらえるのは複数の点で的を射ていないと強調。「現在の『革命』をけん引する企業はAIが市場の話題を独占する前から存在し、相当な事業と成長の実績があった。これらのバリュエーションが常軌を逸しているわけではない」と話した。
96年当時テック株を専門とするトレーダーとして、ITバブルが爆発的に広がっていく様子を目にしていたのがホーガン氏だった。
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