EUのCO2削減目標は実現不可能、自動車業界幹部が見直し要請

欧州の自動車メーカー・自動車部品業界の幹部は27日、乗用車の二酸化炭素(CO2)排出を2035年までに100%削減するなど、車両からのCO2排出削減に関する欧州連合(EU)の目標は、もはや実現可能ではないとの見解を示した。写真はベルリンの路上で撮影された車のマフラー。2018年2月、ベルリンで撮影(2025年 ロイター/Fabrizio Bensch)
[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州の自動車メーカー・自動車部品業界の幹部は27日、乗用車の二酸化炭素(CO2)排出を2035年までに100%削減するなど、車両からのCO2排出削減に関する欧州連合(EU)の目標は、もはや実現可能ではないとの見解を示した。
独メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)と、シェフラーでパワートレイン・シャシー部門の最高経営責任者(CEO)を務めるマティアス・ジンク氏は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長に書簡を送った。
EUは30年までに乗用車のCO2排出量21年比で55%、バンは50%削減し、35年までに乗用車・バンともに100%削減する目標を掲げている。
書簡は「30年と35年に課された厳格な乗用車・バンのCO2目標を、現在の環境下で達成するのはもはや不可能だ」とし、新車の数値目標の枠を超えた取り組みが必要だと訴えた。
法的義務や罰則だけでは脱炭素化への移行を進まないとし、「電気自動車(EV)がけん引役となるのは確かだが、(プラグイン)ハイブリッドやレンジエクステンダー(航続距離延長装置)、高効率の内燃機関車、水素、脱炭素燃料にも余地を確保すべきだ」と提言した。
大型トラックやバスに対するCO2規制についても見直しが必要だと述べた。
一方で、50年のネットゼロ達成に向けたコミットメントは堅持する姿勢を示した。