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EU、高関税回避へ米国との交渉を優先 対抗措置も視野に

2025年07月14日(月)19時44分

欧州連合(EU)のシェフチョビッチ欧州委員(写真)は、米国との交渉は「双方にとって良い結果」に近づいていると感じていたものの、新たな関税の脅威が「新たな力学」を生み出したと指摘した。6月撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier/File Photo)

Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)の閣僚は14日、トランプ米大統領が発表したEU製品に対する30%の関税導入を回避するため、米国との交渉を優先することで合意した。

EUのシェフチョビッチ欧州委員(貿易・経済安全保障担当)は、米国との交渉は「双方にとって良い結果」に近づいていると感じていたものの、新たな関税の脅威が「新たな力学」を生み出したと指摘した。30%の関税が課せられれば従来の貿易がほぼ不可能となり、サプライチェーンが大きな打撃を受け、EUと米国の双方に悪影響が及ぶことになる。

シェフチョビッチ氏はEU貿易担当閣僚会議の前に記者団に対し、「従ってこの極めてネガティブなシナリオを防ぐため、われわれはあらゆることをしなければならない」と強調した。

米国の担当者は交渉継続に前向きとみられるが、EUは対抗措置も含めてあらゆる事態に備える必要があると訴えた。

欧州委員会は210億ユーロ(245億ドル)相当の米国製品に対するEUの関税導入案の一時停止を提案した。

デンマークのラスムセン外相は対抗措置を講じるのは時期尚早との見解を示し、この点でEUが結束を保つことを期待すると述べた。その一方で、「われわれはあらゆる手段を使えるよう準備を整えるべきだ。平和を望むなら戦争に備えなければならない。われわれはまさにその状況にあると思う」と語った。

フランスのサンマルタン貿易担当相は米国のサービスを標的にすることや、「反威圧措置(ACI)」を活用することも検討すべきとの考えを示した。「トランプ氏が望むこの力の均衡は、反撃能力を示さなければならない力の均衡だ」と語った。

ACIはEU加盟国に政策変更を迫る経済的圧力をかける第三国に対してEUが報復措置を取ることを可能にする。

ロイター
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