英中銀、追加利下げで慎重なアプローチ必要=総裁

5月29日、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁(写真)は、国際貿易を巡る不確実性や国内物価への影響を踏まえると、今後の利下げに対する「段階的で慎重な」アプローチが正当化されると述べた。写真は同日、ダブリンで撮影(2025年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)
Padraic Halpin
[ダブリン 29日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は29日、国際貿易を巡る不確実性や国内物価への影響を踏まえると、今後の利下げに対する「段階的で慎重な」アプローチが正当化されると述べた。
ダブリンで開かれた金融業界の夕食会の質疑応答で「現時点でそうしたことを読み取るのは非常に難しい。だからこそ、われわれは『段階的で慎重な』という表現を使い続けている」と述べた。
先週発表となった4月の同国の消費者物価指数(CPI)は前年比3.5%上昇と、3月の2.6%上昇から伸びが大幅に加速した。公共料金の引き上げやイースター休暇中の航空運賃の値上がりが背景。
ベイリー総裁は4月の物価上昇がどこまで季節要因によるものかは分からないとし、6月の金融政策委員会までさらに1カ月分のデータを入手できると述べた。
「(物価統計の)変動が激しくない項目は引き続き緩やかに鈍化しているが、ペースは非常に遅い」と指摘。食品価格の上昇率が加速していることについては、英国に限った現象ではないが、国民の物価認識に「非常に大きな」影響を与えると述べた。
労働市場のデータについては、おおむね予想通りだと語った。
世界経済の分断でドルが準備通貨としての地位を失う恐れがあるとの見方については、見当違いだとし「(ドル以外の通貨への)若干の再配分は見られるかもしれないが、そうした状況にはほど遠く、率直に言って、そのような状況を望むべきではない」と述べた。