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ANAとJAL、「未来のパイロット」養成へ無利子奨学金に協力

11月28日、ANAホールディングスと日本航空(JAL)は、私大など6機関が創設するパイロット養成課程の学生・訓練生を対象とした奨学金制度に資金などで協力すると発表した。写真は両社のロゴマーク。2016年10月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)
[東京 28日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>と日本航空(JAL)<9201.T>は28日、私大など6機関が創設するパイロット養成課程の学生・訓練生を対象とした奨学金制度に資金などで協力すると発表した。
政府が訪日客を増やす目標を掲げる中、航空業界では運航路線の拡大や格安航空会社(LCC)の増加などでパイロット不足が深刻になっており、両社は同制度への協力を通じてパイロット養成を後押しする。
奨学金制度の名称は「未来のパイロット」で、パイロット養成課程のある桜美林大学、東海大学、崇城大学、千葉科学大学、日本航空大学校、新日本航空の6機関が2018年度に創設する。6機関合計で1学年25人程度が対象となる。
一般社団法人の航空機操縦士育英会が学生1人当たり500万円を無利子で貸与し、奨学生は卒業後10年間で返済する。民間養成機関では卒業までの学費が約1500万―2000万円がかかるとされ、奨学金で費用負担の軽減につなげる。ANAとJALは債務保証手数料を一部負担し、奨学生の選考にも協力する。ただし、奨学金制度への応募や選考は両社の採用選考に関係しない。
航空業界ではパイロット不足により、14年にANAグループのLCCのバニラエアやピーチ・アビエーションが計2000便以上の大量欠航に追い込まれたほか、今月と来年2月にはAIRDO(エア・ドゥ)が計60便を運休する。
日本政府が20年に訪日外国人旅行者数4000万人を目標に掲げる中、航空各社の運航便数も増え、パイロットの確保は年々難しくなっている。パイロット養成は短期間でできず、30年ごろには現在40代のパイロットが一斉退職する時期を迎えることもあり、パイロット不足問題は喫緊の課題となっている。
(白木真紀)