ニュース速報

ビジネス

インタビュー:日銀の出口議論は時期尚早=IMF筆頭副専務理事

2017年06月19日(月)19時48分

 6月19日、国際通貨基金(IMF)のデビッド・リプトン筆頭副専務理事は、都内でロイターの取材に応じ、日銀が出口戦略について議論を始めるのは「時期尚早」との認識を示した。写真は記者会見で撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のデビッド・リプトン筆頭副専務理事は19日、都内でロイターの取材に応じ、日銀が出口戦略について議論を始めるのは「時期尚早」との認識を示した。日銀が導入した長短金利操作の有効性を認めつつ、物価2%目標の達成には、さらなる労働市場改革による賃上げの加速が必要とも指摘した。

中央銀行が金融緩和策を終わらせる出口戦略について、リプトン氏は「その国や地域の経済状況次第であり、ペースや時期について予測することは困難」とする一方、日銀に関しては目標の物価2%が依然遠いことを踏まえ、出口の議論は早すぎると指摘した。

その上で、日銀が「量」から「金利」へ政策の軸足を移したことは「有効で持続可能性のあるアプローチ」と評価。

年間80兆円をめどとする国債買い入れペースが、実際とかい離していることを巡っては「イールドカーブをコントロールするために国債買い入れ額が上下するのは当然」とし、「量から金利に戦略をシフトさせたのは適切な判断だと思える」と重ねて強調した。

今後の物価動向は、財政政策と構造改革の後押しがあれば「数年内に1.0─1.5%に達する可能性がある」との見通しを示した。2%達成には、特に賃上げや労働市場改革の加速が必要との立場を明確にした。

リプトン氏はまた、「物価の伸び悩みは、長期的にインフレ期待を危険なまでに押し下げ、賃上げの動きや経済成長を鈍化させかねない」と警鐘を鳴らし、日銀には物価目標の堅持を求めた。

(梅川崇、梶本哲史)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訪日外国人、4月は初の390万人超 イースター休暇

ビジネス

午後3時のドルは2週ぶり143円半ば、不透明感が上

ワールド

コメは3000円台でなければならない、増産に舵切る

ワールド

プーチン氏、西部クルスク州訪問 奪還後初
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 9
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 10
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中