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金融庁、地銀の金利リスクで新規制 19年3月期に導入へ=関係筋

2017年06月08日(木)20時58分

 6月8日、金融庁は地方銀行など国内のみで活動する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて新たな規制を2019年3月期から導入する方針だ。写真は金融庁の看板、2014年8月都内で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 8日 ロイター] - 金融庁は地方銀行など国内のみで業務を展開する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて新たな規制を2019年3月期から導入する方針だ。金利変動時の損失について算出方法を厳格化し、自己資本の20%を上回った場合には、同庁と金融機関が協議して対応策を決める。具体的には、重要性テストなど3段階で金利リスクが高い金融機関を抽出し、必要に応じ、業務改善命令なども出せるようにする。こうした対応も含めた早期警戒制度の運用改善策とともに近く公表し、意見を公募する。

複数の関係筋が8日、明らかにした。

金利変動時の損失の計測に当たっては、これまでは過去5年間の金利変動をもとに行っていたが、新規制では円建ての場合は金利が上下1%幅、ドル建ての場合は同様に上下2%幅で変動した場合にどれだけの損失が出るか算出を求める。例えば、国債は金利変動が小さかったためこれまでは金利リスク量が小さかったが、新基準では通貨毎に変動幅を設定することで金利リスク量が大きくなる。

ただ、想定される損失が基準を上回っても、金融機関に対してただちに債券の処分を求めることなどはせず、金利リスクが基準を上回った背景やリスク管理体制を探り、金融庁と金融機関で是正に向けた対応策を協議する方針だ。金融機関は、金利リスク量について定期的に金融庁に報告を行うとともに、開示も求められる。

金融庁は、財務健全性が悪化した金融機関に是正を促す早期警戒制度について見直しを進めてきた。これまでは健全性基準に該当した金融機関に報告を求めても、根本的な原因に踏み込んだ聞き取りやフォローアップが必ずしも十分でなかった。今後は、1)基準を上回る損失額が予想される金融機関の抽出、2)該当金融機関に対する金融庁による検証、3)検証結果を踏まえた金融機関と金融庁による是正に向けた協議―の3段階で運用することによって実効性を高める。

バーゼル銀行監督委員会は2016年4月、メガバンクなど国際基準行を対象にした銀行勘定の金利リスク規制について最終合意。国際基準行には、18年3月期から新規制が導入される。国際合意を受け、金融庁は業界団体と規制の国内適用に向けた議論を進めてきた。

なお、金融庁の広報担当者のコメントは得られていない。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:田巻一彦、伊藤純夫)

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