コラム

もうEVに乗り換えるしかないのに、日本の「出遅れ感」と「痛恨のミス」が気になる...

2023年12月27日(水)12時40分
EV 電気自動車

AI-GENERATED IMAGE BY SHUTTERSTOCK. AI/SHUTTERSTOCK

<市民にできる最も効果的な温暖化対策は電気自動車を選ぶことで、「待った」をかけるのは石油天然ガス業界とその支援を受ける政治家のみ。それなのに日本はなぜFCVに注力するのか?本誌「ISSUES 2024」特集より>

世界は2024年も引き続き、加速度的に進む交通技術革命を目の当たりにすることになる。この革命の主役は電気自動車(EV)だ。

地球温暖化の進行を止めるために市民ができる最も効果的なことを一つ挙げろと言われたら、答えは簡単。EVに乗り換えることである。

世界のエンジン車の販売台数は2017年をピークに下降に転じている。一方、世界のEVの販売台数は22年の1050万台から24年には1900万台に増え、25年には2200万台に達して、世界の自動車販売台数の26%を占める見込みだ。

その後もこの流れは続き、30年には4200万台に達し、世界の自動車市場の実に44%を占めるとみられている。

社会が新技術をどう受け入れるかを示す「技術採用曲線」でEVは今、飛躍的に普及が進む「アーリー・マジョリティー段階」にある。

ノルウェー、フランス、アメリカの一部の州など30以上の国・地域が40年までにエンジン車の販売を禁止すると宣言している。中国も35年までに禁止するという。

今後20年ほどで自動車市場のほぼ100%をEVが占めるようになる、との予想もあながち誇張ではなさそうだ。

うちの息子が私の愛車、起亜(韓国)のニロを運転して加速感の素晴らしさに驚いた、と言っていた。彼の言うとおり。私が以前乗っていたアウディのA5スポーツバックでさえ、EVのニロと比べると立ち上がりが遅いと感じるほどだ。

【動画】起亜(韓国)のニロ を見る

義理の娘は初めてニロに乗ったとき、「音が静か!」と感嘆の声を上げた。わが愛犬モホークは牛乳配達のトラックのエンジン音には到着2分前から反応するが、私のEVには全く気付かず、車が家の前に現れて初めて歓迎してほえる。

人類が放出している二酸化炭素(CO2)のせいで、今後50年間に世界の海面は上昇し、気温は上がり、地球の一部は人間が住めなくなるだろう。

CO2排出の65%が化石燃料由来であり、14%が交通部門由来だ。車と家の暖房が排出するCO2は、消費者による地球温暖化促進の2大要因であり、裏を返せば消費者ができる温暖化防止の2大対策である。

あなたが車のオーナーなら、温暖化防止のために今すぐできることはEVへの乗り換えだ。一市民の購買行動が地球の未来を変える大きな一歩となる。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 7
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 8
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 9
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 10
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story