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カナダからの呟き

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結局、Freedom Convoyとは何だったのか?

Freedom Convoyの車両撤去後も、デモによる道路占拠を避ける為、交通規制が続くトロントのダウンタウン。2022年2月27日、筆者撮影。

Freedom Convoyは迷惑行為のオンパレード

2022221日、ようやくオタワの都市部を占領していたFreedom Convoyの車両が撤去された。

Freedom Convoyを簡単に説明すると、カナダ政府がカナダ・米国の国境間を行き来するトラックドライバーにワクチン接種を義務付けしたことから、その反発としてデモが起こり、オタワや米国との国境の一部がドライバー達とその支持者達によって占拠された。

一連の流れは以下である。

  • ● 1月にカナダ連邦政府の米国・カナダ国境間を行き来するトラックドライバーにワクチン接種義務化の計画を発表
  • 1月下旬 - 反発したトラックドライバー達が首都であるオタワ市のWellington Streetをトラックで占拠
  • 25日 - トロントでも同様のデモが行われたが警察の交通規制により被害は軽微
  • 26日 - オンタリオ警察が州と連邦政府に助けを求める
  • 27日 - 米国・カナダ国境間のAmbassador Bridgeをデモ隊が占拠
  • 27日 - オタワ市が緊急事態宣言
  • 211日 - オンタリオ州が緊急事態宣言
  • 213日 - 警察がAmbassador Bridgeの占拠を解除
  • 214日 - カナダ連邦政府が緊急事態宣言
  • ● 2月20日 - 警察がデモ隊のトラックを撤去、占拠を解除

カナダはデモの権利は保障されている。それは『声を上げる・意見を述べる場は、あって然るべき』という考え方があるからだ。

しかし、今回のFreedom Convoyが大きな問題になったのは、その行動がデモという範疇を超えて、迷惑行為や違法行為のオンパレードとなったからだ。

抗議活動の範疇を超えて、道路や私有地の不法占拠の迷惑行為が横行していた。

公道占拠、アイドリング、騒音。夜中までホンキング(クラクションを続けて鳴らす行為)。さらに他者への嫌がらせ。マスクをしている通行人たちへの嫌がらせ、レストランへの嫌がらせ、医療従事者たちへの嫌がらせ。もはや犯罪の域である。

実際にこのデモでは214日時点で既に26件の刑事告訴、2600以上のチケットが切られていた。

デモが行われている場所に近づかないように勧告が出て、周辺のビジネスは多大な被害を受けた。

さらに、カナダは州ごとに社会医療保障があるので、こういう行為でこの人たちがコロナにかかっても、そのリスクを負わなくてはならないのは医療従事者で、本人達ではないのだ。

デモのタイミングとメソッドの違和感

そもそも、このデモの発端は、米国とカナダ国境間を行き来するトラックドライバーにワクチン接種義務を課すことに反発してであった。

そして2022128日にトラックがオタワの主要道路をブロック。

その後、反マスク、反ワクチン、反ロックダウンと拡大。

しかし、オンタリオ州ではこのデモ以前に既に規制緩和の計画案を公開していて、その中には状況如何で規制を緩める旨も既に予定にあったのだ。3月に大幅に規制緩和というのは昨年の時点で青写真として発表されていた。

既に規制緩和の目処が立っていたのに、敢えてここまで騒ぎ散らかした理由は何だったのか?

単純に『コロナ禍規制でフラストレーションが溜まっていた』というものなら、このタイミングでなくても、よかったはずだ。

既にオミクロンのピークが抜けた状態で、敢えて騒ぎをやらかしたのは、何かしら別の理由があるのではなかろうか?

カナダのトラックドライバーの約18%がアジア系だと言われているが、アジア系の人たちには殆ど声がかけられなかったそうだ。

さらにトラックドライバーの殆どはワクチン接種していた(約85%が接種済み)。なのでトラック運転手によるデモと言われていても、実際にデモに参加した人は少数者で、不法占拠などをやらかした人たちはさらに少数派である。なのに、トラックドライバーというだけで『オタワで迷惑行為をしているならず者』のような誤解を受けてしまう側面もあった。

そしてトラック運転手の労働条件の改善と公正な賃金を求めた抗議活動には、Freedom Convoyにみられるような組織だった団結はなかったそうだ。ドライバーに賃金を支払わない雇用主がいるため、働いても賃金をもらえない状況が多発していて、さらにインフレでトラック輸送は危機的状況にあるのに、だ。

ドライバー廃業に追い込まれる問題で団結しないのに、ワクチン接種義務反対で団結したのは何故だろうか?

自発的なデモという体裁だが、釈然としない部分が多い。カナダのデモとして、違和感があるのだ。

そして、このデモがトランプ支持者の議事堂襲撃を想起させることに、うんざりしているカナダ人は多かったように思う。

通常カナダ国内で行われるデモに比べると、このFreedom Convoyデモは、酷く『アメリカ的』だったように思う。
カナダで行われているデモなのに街を暴走する車には米国フラッグを掲げている人たちがいて、訳がわからない状態だった。

論理的な交渉ではなく「フリーダム」というスローガンの元、ゴリ押しで通そうというメソッド。

さらにSNSなどを使用して誘導しする。公道を占拠し、ホステージにして条件を引き出そうという狡猾さ。そして、その行為が治安や国の評価も落とすという悪辣さ。

単なる市民個人の寄せ集めのデモでは、数週間、街を占領する資金も組織力もない。つまり、意図的に先導した人たちが存在した。

そしてその団体の一つが、米国の極右団体のThree Percenterであることが判明している。つまり、実際のデモ隊の人たちの中に扇動者がいた可能性もある訳である。
ここで問題なのは扇動者の有無ではなく、結果として、抗議活動が迷惑行為となって極端な方向に入ってしまった点である。煽られた・煽られてないのどちらだったとしても、結果として抗議活動として暴走してしまったことだ。

SNSで拡散されるビデオはカナダフラッグを掲げた人たちが道路を通るトラックを歓迎しているのだが、これを見たときに『どうやってトラックが来る時間がわかったのだろう?』と違和感だった。組織的行動として仕込まれた映像なら、納得がいく。

カナダのワクチン接種義務の押し付けは、やりすぎの感があったので、こういったイメージに希望を持って飛びつき、賛同した人たちもいたのではなかろうか。
街の占領や国境のブロックなど、行きすぎた迷惑行為がなかったのであれば、もっと多くの人たちが支持していたと思うのだ。
しかし、デモが1日で終わらず、デモ参加者が撤去要求に応じなかった時点で、このデモが他のデモと異なっており、不穏な空気が上がったのである。

尚、オンライン・ファンディング・サービスのひとつであるGoFundMeは、違法行為があったとして、Freedom Convoyのキャンペーンを中止し、1000万ドルの寄付金を凍結した。デモ・オーガナイザーが、この基金目当てだった可能性も高い。

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著者プロフィール
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カナダに棲む女。食事においての最後の一品は自分が食べたい。寒がりなのにカナダに移住。英語が苦手なのにカナダに移住。フランス語が喋れないのにカナダに移住。

著書、『毒の滴』が販売中です。

ブログ:毒の滴(したたり)

Twitter: @poisondrop333

Instagram: drippingofpoison

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