コラム

2020年米国大統領選挙を左右する第三極政党の動向

2020年07月03日(金)14時45分

2016年大統領選挙投票日直前にオバマ前大統領は「第三極候補者に投票することはトランプに投票することと同じだ」とメディアで警告を発したが、その警告は後の祭りであった。筆者はトランプ・ヒラリーのみの世論調査と第三極政党候補者も含んだ世論調査を比較して、後者の結果はヒラリーに不利になっていたことが多いことから、2016年の第三極候補者の存在はトランプ当選に有利に働いたものと推定している。

第三極政党が大統領選挙に与える政治的インパクトは減少する

では、2020年のリバタリアン党と緑の党の候補者擁立動向はどのようになっているだろうか。両党ともに政党の指名候補者が選ばれたが、2016年の候補者と比べると明らかにネームバリューが弱い候補者らが選出されている。リバタリアン党は政治経験がない学者で女性候補者のジョーゲンセンが選出されており、緑の党のホーキンスは2016年のステインほどのカリスマ性があるわけではない。

したがって、2016年と比べて2020年では両党が大統領選挙に与える政治的インパクトは減少することになるだろう。この状況は結果としてバイデンにとって有利に働き、トランプにとっては不利に働く要素となる可能性が高い。

近年の米国大統領選挙は僅差で決着が着くことも多く、ほんの僅かな違いが大きな結果の差に繋がることになる。トランプ・バイデンの対決に注目しつつも、第三極政党の候補者の世論調査の数字にも注意を払っておきたいと思う。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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