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ハメネイ師死亡が引き起こす「影の戦争」――中東外でも広がる反イスラエル・反米テロのリスク
中東の外で懸念される反イスラエル、反米テロの脅威
1990年代、アルゼンチンで発生した一連の爆破事件は、中東の対立が遠く離れた地域にまで波及した象徴的な事例である。1992年のブエノスアイレスにおけるイスラエル大使館爆破事件(29名死亡)は、イスラエル軍によるヒズボラ最高指導者ムサウィ師の殺害に対する報復と目されている。
さらに1994年には、同じくブエノスアイレスのユダヤ人コミュニティーセンター(AMIA)が爆破され、85名が死亡、300名以上が負傷するという同国史上最悪の惨事となった。
2024年4月、アルゼンチンの破毀院(最高裁に相当)は、これら一連の事件をイラン政府が計画し、ヒズボラが実行した「人道に対する罪」であると改めて断定する判決を下した。 この事件は、中東の紛争が地理的制約を超え、遠く離れた地の民間施設に対しても組織的に実行される影の戦争の雛形となった。
2012年には、イランの核開発を巡る緊張や核科学者の暗殺を背景に、世界各地でイスラエル関連施設を狙った事案が連鎖した。2月にインドのニューデリーで外交官の妻が乗る車が爆破されたほか、ジョージアのトビリシやタイのバンコクでも同様の暗殺・爆破計画が露呈。さらに7月にはブルガリアのブルガス空港でイスラエル人観光客を乗せたバスが自爆テロに遭い、6名が犠牲となった。
また、イスラエルとガザ地区を実行支配するハマスとの軍事的衝突が激化した2023年10月以降、中国・北京の路上でイスラエル大使館の関係者が突然襲われて負傷する事件(同年10月)、ニューデリーにあるイスラエル大使館近くで爆発が発生するケース(同年12月)などが報告された。
昨年5月にはワシントンDCにあるユダヤ系の歴史や文化を学ぶ博物館の前で銃撃事件が発生し、イスラエル大使館の職員2人が殺害される事件が発生したが、この事件で拘束された男は、パレスチナに自由をと繰り返し主張していた。
2026年3月現在、最高指導者ハメネイ師という絶対的なリーダーを失ったイラン指導部の中では動揺が続いているだろうが、今後はイラン関連組織、イラン支持者らによる報復的な暴力がテロという形で表面化することが懸念される。






