イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプとネタニヤフを突き動かす「宗教勢力」の正体
トランプは選挙戦の頃から宗教をフル活用
上述のような光景は、この数年、アメリカとイスラエルの政治の世界で宗教的言説がどれほど浸食力を強めてきたかを抜きにしては理解できない。いまや右派宗教勢力の終末論的ビジョンは、両国の政治を突き動かす強力な原動力となっている。
右派の信者層の間では、政治指導者たちが単なる政治家ではなく、「神の計画を遂行する兵士」「預言者的人物」として神話的なオーラをまとわされることが当たり前になった。政治家たち自身もそれを十分承知の上で、終末や救世主の到来を語る宗教的物語を巧みに利用し、自らを「神が選んだ戦士」として位置づけるような言説を強化している。
トランプに関していえば、2024年の選挙戦からすでに、彼を支持する広範な福音派インフルエンサーの間で、宗教的レトリックは強力な武器として用いられてきた。
民主党候補のカマラ・ハリスは、旧約聖書に登場し預言者エリヤ(イリヤス)を迫害した悪名高い王妃イゼベルになぞらえられていた。福音派の著名牧師マーク・ドリスコル(アリゾナ州の福音派教会牧師)らは、「信仰あるキリスト者はイゼベル(ハリス)が権力を握るのを阻まねばならない」と訴えた。一方のトランプは、信仰心が篤いとは言い難いものの、神が信徒を守るために用いる旧約の王たちになぞらえられた。
トランプ自身もこの言説を巧みに利用し、「アメリカにおけるキリスト教の守護者」「神の言葉のために戦う戦士」として自らを売り込んだ。結果、白人福音派有権者の約8割、さらには白人プロテスタントおよびカトリック有権者からも大きな支持を獲得し、2度目の大統領当選への道を切り開いた。その道程は、旧約の王たちと自らを重ね合わせる宗教的物語によって、周到に舗装されていたのだ。





