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イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界

THE IRAN WAR STALEMATE

2026年4月3日(金)06時00分
河東哲夫 (本誌コラムニスト、元外交官)
トランプはイスラエルに無謀な戦争へと引きずり込まれたのか CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES

トランプはイスラエルに無謀な戦争へと引きずり込まれたのか CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES


▼目次
やりすぎて足場を失うイスラエル

戦争はいつも「ホラ」と情報管制の煙幕に包まれる。今回のイラン戦争(「戦争」と言ってはいけないらしいが)は、イランの最高指導者アリ・ハメネイが殺害されたところまでは、イスラエルの諜報能力、米軍の力に感心したものだが、その後は一進一退の様相。イスラエル、アメリカとも、どうやら力の限界に達しているらしい。

湾岸地域の米軍レーダーが攻撃を受け空域管制能力を失ったという報道が、相次いでいる。米第5艦隊司令部があるペルシャ湾のバーレーンは、イランのドローン攻撃を受けて多数の死傷者が出ている。

米海軍ご自慢の原子力空母「ジェラルド・R・フォード」は、太平洋からイラン方面に急行していたはずが、一向にペルシャ湾に現れない。入り口のホルムズ海峡が危なくて通れない(イランの地対艦ミサイルの格好の獲物になる)から、逡巡しているのかと思いきや、3月17日のニューヨーク・タイムズは「艦の洗濯場の通風孔で火災が発生。30時間かけてやっと鎮火したが、兵士600人分の寝台を失い、ギリシャへ修理に赴いた。だいたいこの空母は10カ月も洋上にあって、将兵は疲労の極みにあった」と報じた。がっくりだ。

ならばというわけで、「太平洋方面からは海兵隊員3000人を乗せた強襲揚陸艦トリポリがイランへ向かった。イランの石油搬出の随一の拠点カーグ島を制圧するのだろう」という知らせに注目したのだが、考えてみるとカーグ島はペルシャ湾の奥深く。ここに近づくには、かのホルムズ海峡を通らなければならず、それは無理だろうと思う。米本土では3000人の空挺団が出撃の準備を始めたといわれるが、イスラエルまでは飛べても、そこからどうやってイランに至るまでの上空通過を周辺諸国に許してもらえるのか。イランに到達しても、昔ロシアが提供した地対空ミサイルの格好の標的になってしまう。

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