イラン情勢は、日本の「見えざる戦争」...高市・トランプ会談で、日本が直視すべき「9つの現実」
現実的には日本は今より大胆に動く法的能力を持っている
率直に言えば、高市政権の「法的に極めて困難」という立場は、正確であり、戦略的であり、同時に卑怯でもある。憲法上の制約が実在するのは事実だし、その表現で時間を稼ぎ、交渉余地を広げるのも戦略だ。
しかし、3分の2の議席を持ち、公明党のブレーキもなく、過去には創造的解釈も積み重ねてきた日本には、いまより大胆に動く法的能力がある。それでも動かないのは、結局のところ政治的意思が欠けているからだ。そのギャップは、米政府、中国政府、イラン政府のすべてに見透かされている。
しかも国内には、対米不信という重い背景がある。2025年4月の朝日新聞調査では、有事の際に米国が日本を守ると信じる人はわずか15%だった。東京大学ROLESの2025年8月調査でも、米国の核の傘への信頼は39.3%まで低下している。日本が国益より同盟の論理を優先し、その見返りとして十分な安心も得られないと映るたび、この不信感は深まっていく。
結局のところ、高市・トランプ会談で問われるのは、役割分担の細部ではない。日本がこの危機を「原油高」として受け流すのか、それとも、自国のエネルギー安全保障、台湾抑止、外交仲介力、そして対米同盟の限界まで含んだ、より大きな戦略問題として受け止めるのか、その姿勢そのものが試されるのである。
何が起きそうか、というのは、ある意味では明白だ。どの選択肢にも大きな代償が伴う以上、この会談は日本にとって「勝ち目のない瞬間」として展開する公算が大きい。
だが、その中でも日本が何を断り、何を引き受け、何を提案するのかによって、この危機の意味は大きく変わる。イラン危機は中東の話では終わらない。それは、日本がどのような国としてこの時代を生きるのかを問う試金石になりつつある。
IGSI(国際インテリジェンス戦略研究所)
インテリジェンスとサイバーセキュリティを中心に国際情勢の分析やセキュリティ評価、脅威インテリジェンスなどを提供するシンクタンク。東京を拠点に国際的な情報機関やサイバー機関の関係者らの経験と知見を集結した分析を提供。
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