最新記事
国境紛争

トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符

Thai Airstrikes Hit Cambodia as Border Conflict Reignites

2025年12月9日(火)19時15分
ロバート・バーセル

<カンボジアも米軍との軍事演習を再開へ>

両国間の長年にわたる国境紛争は、フランスによるカンボジア統治時代に作成された地図が元となっている。

2025年5月、両国の銃撃戦の中でカンボジア兵が1名死亡したことで対立が再燃、7月には戦闘が激化したが、マレーシアでの協議を経て停戦が成立した。その際、両国へのさらなる制裁を警告したトランプは、自らの手腕による成果などと主張していた。


タイとカンボジアが和平合意を結んだ場所であるマレーシアの、アンワル・イブラヒム首相はXで、「戦闘の再開は、両隣国間の関係安定化に向けてこれまで積み重ねられてきた慎重な努力を崩壊させる恐れがある。......タイとカンボジアは、最大限の自制心を発揮し、コミュニケーションのチャンネルを開けたままにし、既存の和平メカニズムを最大限活用するよう強く求める。......東南アジアは、長年の紛争が対立の連鎖に陥るのを容認しない。当面の優先課題は、戦闘停止と民間人保護、そして、国際法とASEANが依拠する隣人愛の精神に支えられた外交の道に戻ることだ」と投稿。両国に対して自制を促した。

5月の戦闘では、両国の国境沿いで数十万人の民間人が避難を余儀なくされた。タイ軍によると、12月8日時点で3万5000人以上が仮設避難所に身を寄せ、それ以上の人々が安全な場所へと移動中、あるいは親類のもとに避難しているという。

人口およそ7000万人を擁するタイは、1700万人のカンボジアよりも経済規模・軍事力ともに大きく勝っている。

軍事面では、タイは米軍との合同軍事演習を定期的に実施している一方、カンボジアは米軍との演習を中止していた。しかし、最近になってその再開を発表した。

アメリカ、中国、ASEANといった関係各国・地域は、両国に対し戦闘の即時停止と停戦合意の順守を求めるとみられる。トランプが再び介入するかは不透明だ。

【関連記事】
地雷で吹き飛んだ「和平への道」...タイ・カンボジア国境で爆発した「旧ソ連製PMN2」の正体は?
タイ・カンボジア国境紛争のトランプによる停戦合意、履行停止もトランプは「大丈夫」と楽観的

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、1億7200万バレルの戦略石油備蓄を放出へ 来

ワールド

イラン小学校空爆などで「迅速な調査」要求、米民主党

ワールド

トランプ氏、イランとの戦争に「勝利した」 任務完遂

ビジネス

米ターゲット、約3000品目値下げ 低価格志向の消
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中