iPhone17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
Apple’s New iPhones Are Prone to Scratching. Are Trump’s Tariffs to Blame?
IDCやカウンターポイント・リサーチといった調査会社のサプライチェーン専門家によれば、この決定の背景にはエンジニアリング上の要件、コスト管理、そして貿易リスクの軽減といった複数の要因があるという。
IDCヨーロッパでデバイスおよびデータ分析部門を統括するフランシスコ・ヘロニモ氏は本誌の取材に対し、「Appleはチタン製モデルを通じて、チタンが熱の管理に適さないことに気づいた」と語った。
「現行モデルでは、より高性能なチップや『Apple Intelligence』の搭載により、端末上での処理が格段に増え、そのぶん発熱量も増えている。しかし、チタンはその熱をうまく逃がせない」
Appleはかつて、チタンの耐久性を大きくアピールしていたが、「iPhone 16」のユーザーからは本体の過熱を訴える声が多く上がっていた。端末内でAI処理が増え、処理負荷が高まるなかで、より実用的な解決策としてアルミニウム素材を選択したのだ。
アルミニウムは傷つきやすいものの、ベイパーチャンバー冷却システムと新設計のユニボディ構造と組み合わせることで、放熱性に優れる現実的な選択肢となった。
誰がその代償を払うのか
素材変更は、Appleの関税戦略とも見事に一致している。トランプ政権によるアルミニウムや鉄鋼の原材料への関税は、完成品のスマートフォンには適用されない。ただし、中国製の電子機器には10%の関税がかかる。