ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イスラエル全面戦争は「起こらない」と断言できる理由

A Victory for Israel

2025年6月17日(火)14時45分
マシュー・クレイニグ(米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」スコウクロフト国際安全保障センター副所長)

「濃縮の権利」は死守か

残された最大の疑問は、今後数週間から数カ月のうちに明らかになるだろう。すなわち、イランは核開発計画を再建するかどうか、それはいつ頃かということだ。

核施設への攻撃を批判する人々は、いかなる攻撃もイランをNPTから正式に脱退させ、核兵器開発に突き進ませるのではないかと主張する。


しかし、ウラン濃縮施設と核物質がなければ核兵器は製造できない。イスラエルの攻撃が成功すれば、イランの核開発計画は少なくとも1~2年は後退することになる。

将来的にイランが核開発計画を再建しても、イスラエルには再び攻撃するという選択肢がある。イスラエルの軍事当局者が「芝刈り」と呼ぶ戦略、つまり、芝が伸びたらその分を刈るのだ。

トランプはイスラエルによる攻撃で得た圧力を、イランとの交渉に利用しようとしている。「この虐殺を......終わらせる時間はまだある。イランは何も残らなくなる前にディールを結ばなければならい」と、13日の攻撃後にソーシャルメディアに投稿した。

このオファーをイランの最高指導者アリ・ハメネイに受け入れてほしいが、おそらくそれはないだろう。

イスラエルから攻撃を受けた上で、アメリカとの交渉で長年主張してきた「濃縮の権利」を放棄すれば、ハメネイは軍と宗教指導者層に弱腰と見なされる。それは彼の支配を真の危険にさらしかねない。

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