最新記事
事故

気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点

Air India Flight 171 Crash: Veteran Pilots on What Could Have Gone Wrong

2025年6月16日(月)13時40分
ヘスス・メサ
離陸直後に墜落したエア・インディア171便の尾翼部分

離陸直後に墜落したエア・インディア171便の尾翼部分 ADNAN ABIDIーREUTERS

<品質問題に揺れるボーイング機の事故。原因は構造的問題か、操縦ミスか、はたまた別の問題か?──>

エア・インディア171便が、インド西部アーメダバード空港を離陸した直後に墜落した。乗員乗客242人は、奇跡的に助かった1人を除き、全員死亡。機体が激突した医科大学の建物にいた人を含めると、犠牲者は270人に上るとみられる。

【動画】カメラが捉えていた「大爆発の瞬間」...エア・インディア171便の墜落の様子

事故機は、皮肉にもドリームライナーという愛称を持つボーイング787型機。先進的な技術を詰め込んだ次世代型旅客機として華々しく登場したことは、まだ記憶に新しい。2011年の運用開始以来で初の墜落事故となった。


171便は6月12日午後、高度625フィート(約190メートル)まで上昇した後、機首を上げたまま急降下して、近隣の建物に突っ込んだ。事故当時は見通しのよい晴天で気象条件に問題はなかっただけに、機体の構造的問題か、操縦ミスか、整備不良かと、さまざまな原因説が乱れ飛んでいる。

事故の様子を偶然撮影した動画を見て、元パイロットのダン・バブ(Dan Bubb)米ネバダ大学ラスベガス校准教授らは、事故機はフラップが出ていないと指摘する。フラップは離着陸のとき主翼の前後に伸びるもので、翼の面積を大きくして、揚力を高める働きがある。

元ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットであるアラステア・ローゼンシャイン(Alastair Rosenschein)も、事故機はフラップが伸びていないため、「飛行を維持できなかっただろう」と、英スカイ・ニュースに語っている。

また、車輪が出たままになっていることを指摘し、これも上昇を妨げた一因とみる。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アップル、7─9月売上高見通しが予想上回る 関税コ

ビジネス

完全失業率6月は2.5%で横ばい 有効求人倍率1.

ワールド

トランプ氏、対日関税15%の大統領令署名 数十カ国

ワールド

米ロ宇宙機関トップ、フロリダ州で異例の月面開発協力
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中