最新記事
中朝関係

中国で北朝鮮スパイが逮捕されていた! 容疑は何か、「血盟」の両国関係に何があったのか

China's Arrest of North Korea Spy Reveals Cracks in Xi-Kim Alliance

2025年5月9日(金)19時40分
マイカ・マッカートニー
北朝鮮のハッカー部隊が中国で活動していることは知られていたが…

北朝鮮のハッカー部隊が中国で活動していることは知られていたが… FOTOGRIN

<驚きのニュースが伝えられた。習近平にとって北朝鮮は重要な友好国ではあるが、頭痛の種でもあるようだ>

北朝鮮のスパイとされる人物が、中国当局により、中国の軍事技術を盗んだ容疑で逮捕された。韓国の聯合ニュースが4月29日に報じた。

本誌は、北京にある北朝鮮大使館および中国外交部にメールでコメントを求めている。


逮捕されたのは、朝鮮労働党軍需工業部の下部組織から中国東北部の遼寧省に派遣されていた複数のIT部隊員の一人。

北朝鮮事情に詳しい情報筋によれば、この容疑者は先月、現地の宿泊施設からノートパソコンを持って逃走。その後行方不明になっていたが、中国の公安当局によって逮捕された。

調査の過程で、容疑者のノートパソコンから中国の兵器や軍事技術に関連する多数の情報が発見された。ハッキングによって得たとみられている。本人は取り調べで容疑を認めているという。

情報筋によれば、北朝鮮はこの逮捕を把握すると、同じ場所で活動していた他の全IT部隊員を呼び戻した。情報収集活動が露見することを恐れたためとみられる。

軍需工業部は、北朝鮮の兵器製造および研究開発計画を監督しており、国連制裁対象の組織となっている。同部や偵察総局が派遣するIT部隊員は、中国や東南アジアなどの地域で、寮生活を送りながら偽名でハッキングを行うことが広く知られている。

北朝鮮に関連するハッカー集団は、これまでも世界各国の防衛機関や企業から情報を盗み取ろうとする試みを繰り返してきた。

厳しい検閲の下にある中国のメディアでこの事件が報じられたという事実は、当局の黙認、あるいは明示的な承認があったことを示唆している。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者「米国が再び攻撃すれば反撃」、停戦

ビジネス

雇用市場減速しているがインフレ見通しは不透明=英中

ビジネス

英シェル、BP買収報道を全面否定 英規則で今後6カ

ビジネス

中東紛争、金融市場は冷静に反応 成長に悪影響も=E
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」…
  • 10
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中