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今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら呆れるトランプの政策

WHY CHINA WILL PREVAIL

2025年4月17日(木)18時00分
スコット・ケネディ(米戦略国際問題研究所〔CSIS〕上級アドバイザー)

政治に無関心な中国人も、国の現状に不満を抱いているが、アメリカに比べればまだ安定しているから、最低限の満足感は得られる。

リベラル派はトランプ色に染まった米政府に深い悲しみを覚える。彼らにとってアメリカは憧れの「丘の上の明かり」であり「灯台」だった。


08年にアメリカから世界金融危機が起きたことで、中国政府は自由市場への不信を強めた。そして25年のアメリカは、政治体制への信頼を失墜させている。こうなると、もう諦めるしかない。中国のリベラル派は「解放の日」を、正反対の意味に捉えたに違いない。

たとえトランプが全面的な貿易戦争から引き下がったとしても、米中の対立は予想外の方向に展開していくだろう。どちらの経済にも強みと弱みがあり、互いの急所を突こうとする。アジア、欧州、アフリカ、中南米諸国を取り込んで、相手を孤立させようともするだろう。

とはいえ次の2つの点は確実と言えそうだ。第1に中国が反撃の構えを新たにした今、トランプ政権が中国から譲歩を引き出す望みは皆無といっていい。アメリカの挑発や瀬戸際外交は途方もない時間の無駄だ。

第2に少なくとも今のところ、体制の優劣をめぐる「体制間競争」は決着がついた。喜ぶにせよ嘆くにせよ、中国の人々にとってトランプの赤いネクタイは降参の白旗だ。

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