最新記事
野生生物

「時間が止まった...」全裸で遊泳中に「子連れの巨大クマ」に遭遇、命の危機を免れた男性が語る「恐怖の瞬間」

Encounter With a Grizzly

2025年1月7日(火)14時39分
セス・シュティア(環境科学者、冒険家)

やがて何か野獣みたいな声が聞こえ、茂みの奥から大きな動物が向かってくる気配がした。牛かと思ったけれど、違った。対岸に姿を現したのは巨大な雌のハイイログマと2頭の子グマ。

嘘だろ、と思った。恐怖が腹の底に突き刺さり、時間が止まった。川を挟んでいても、距離はざっと30メートル。ハイイログマの観察時に推奨される90メートルよりはるかに近かった。


私はナタリーの腕をつかみ、「クマだ」とささやいた。彼女は目線を上げ、声は出さずに「あっ」と叫んだ。

私はまだパンツもはいていなかったけれど、クマ撃退用のスプレーを握り締めた。そしてゆっくり、彼女と一緒に後ずさりし始めた。

と、不意に母グマが後ろ足で立ち上がり、頭を左右に振った。あっ、気付かれたか。

もしも本気で戦闘モードに入れば、ハイイログマは時速60キロ弱で突進できるという。幅30メートルくらいの川なんて、あっという間に越えてくる。

あのとき私は腰から下は素っ裸で、顔は恐怖にゆがんでいたはず。片手にはクマ撃退用のスプレー、片手には拾ったばかりの小石を握り締めていた。私たちの不運を面白おかしく伝える新聞の見出しが、なぜか頭に浮かんだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中