真の狙いは「世界支配」...トランプを「神に選ばれし者」と信じるキリスト教右派の集会を覗いてみたら【潜入ルポ】

Trump as God’s Chosen One

2024年10月22日(火)18時11分
モリー・オルムステッド(スレート誌記者)

新カリスマ運動の集会で指導者たちの話に耳を傾ける福音派の信者ら

MOLLY OLMSTEADーSLATE

そんな教会でも、ウォルナウが引き付けるタイプの福音派には、さすがに不慣れなようだった。

トランプ支持団体のグッズ販売テントがいくつかあったが、会場を見回しただけでは政治的なイベントという感じはしない。メインテントには折り畳み椅子がずらりと並び、周囲はまるで音楽フェスのような雰囲気だ。


肌にまとわりつくような熱気の中、スピーカーから大音量でクリスチャン・ロックが流れている。参加者は白人が圧倒的に多い(全部ではない)。意外にも高齢者に交じって、幼い子供連れの親たちが目につく。晴れ着姿は見かけず、老いも若きもTシャツにショーツのくだけたスタイル。

テントの左手で円陣を組んで祈る人たちがいる。祈りが終わると、そのうちの1人がショファル(ユダヤ教で使われる角笛)を吹き鳴らして、メインテントに人々を集めた。

イベントが始まって1時間後、ウォルナウは完璧な笑顔でステージに現れた。聴衆をあおり、左派を攻撃して、人々の不安(「地獄は私たち以上に戦いの準備ができている」)と希望(「私は、トランプが次の大統領になるという知らせをイスラエルで聞いたのだ」)をかき立てた。

しかし、ウォルナウには温かみもあった。彼は世界経済フォーラムなどグローバリストの脅威について不満をぶちまけたかと思うと、ウインクをしてちゃめっ気たっぷりに言った。「皆さんは教養のある陰謀論マニアですね」

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