真の狙いは「世界支配」...トランプを「神に選ばれし者」と信じるキリスト教右派の集会を覗いてみたら【潜入ルポ】

Trump as God’s Chosen One

2024年10月22日(火)18時11分
モリー・オルムステッド(スレート誌記者)

大統領選の結果に憤慨して連邦議会議事堂周辺に集まったトランプ支持者

大統領選の結果に憤慨して連邦議会議事堂周辺に集まったトランプ支持者(2021年1月6日) BRENT STIRTONーGETTY IMAGESーSLATE

トランプはアメリカの宗教改革に重要な役割を果たし、来るべき「大覚醒(信仰の復興)」のカタリスト(触媒)となる運命にある──そう信じて疑わない信徒たちがここに集まっている。

彼らに言わせれば、トランプは現代版のキュロス2世だ。そう、強大な帝国を打ち立て、ユダヤ人を「バビロンの捕囚」から解放して約束の地に帰還させたアケメネス朝ペルシャの開祖──無信仰でありながら、旧約聖書にその名を残した偉大な帝王の再来だというのである。


今年7月に起きた暗殺未遂事件で、トランプが血を流しながらこぶしを突き上げ、無事をアピールしたことで、そうした見方がますます強まった。今ではここに集まった信徒たちは、トランプの行く手を阻む者がいれば、それが何者であっても、「撃破すべき邪悪な勢力」と見なす。

福音派になじみがないアメリカ人は、こうした宗教右派の運動がこの国のキリスト教信仰の在り方を急速に変えつつあることに気付いていないだろう。政治とは、邪悪な勢力と神の軍隊との戦いにほかならない。今やそう信じてトランプを全力で推すキリスト教徒が大勢いるのだ。

ウォルナウは「今世紀に入ってこれまでに登場した最も重要な福音派の政治的な神学者」かもしれない。私にそう教えてくれたのは宗教学者のマシュー・テーラーだ(この記事のためにウォルナウに取材を申し込んだが受け入れてもらえなかった)。

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