最新記事
米大統領選

銃撃を受けたトランプの下に団結し、無敵の高揚感に包まれた共和党

“THE ELECTION’S OVER”

2024年7月24日(水)13時59分
ジム・ニューウェル(スレート誌政治記者)

ウィスコンシン州の代議員である妻に同行して党大会に参加したグレッグ・ライマンは16日の朝、ファイサーブ・フォーラムの外の広場を散歩していた。彼は前夜にトランプ一家の近くに座ったときの写真を見せて、次男のエリック・トランプに挨拶すると会釈されたと説明した。

ライマンは、最近の民主党の内紛を見るのが「ちょっとした楽しみ」になっている。ただし、バイデンのことは「ほんの少し、ほんの少しだけ、気の毒にも思う」。彼は「外界から閉ざされていて、自分がどんなにひどく見られているのか、分かっていないのだろう」。


民主党の出方に一抹の不安

共和党の陶酔感を抑えるものがあるとすれば、腹黒い民主党がまだ何か切り札を隠しているかもしれないという予感だ。党派対立にがんじがらめになっている支持者に共通するのは、どちらの陣営も、相手の工作員や戦略家は黒魔術を操り、どんなこともできると信じていることだ。

「(民主党陣営の)裏で動いている大物たちは、あまりに冷酷で卑劣だ」とライマンは言う。「彼らは勝つためだけに動き、その過程で誰を踏み付けようが気にもかけない。それがバイデンであっても」

神の摂理であれ、工作員の黒魔術であれ、政治の命運は一瞬でひっくり返る。16年の大統領選がまさにそうだった。一時期は毎日のように、トランプに勝ち目はないとする新しい理由が出てきた。党大会前には、政治家個人としての理由から、あるいはトランプに党が乗っ取られたときに関与したと言われたくないから、党大会に参加しない党重鎮は誰なのかが話題になった。

今回、共和党は間違いなく団結している。党大会の初日、3年以上トランプの名前を口にすることさえほとんどなかったミッチ・マコネル上院院内総務が、ケンタッキー州の代議員はトランプを指名すると宣言した(ちなみにマコネルは終始ブーイングを浴びていた。「トランプワールド」への再入場は一朝一夕には認められないのだ)。

マコネルの後継者と目されるジョン・スーン上院議員(サウスダコタ州)は、20年の選挙戦の影響でトランプとの関係がぎくしゃくしていたが、今回は次のように語っている。「少なくとも、われわれ上院は非常に結束している。トランプ陣営も、トランプ自身も、上院指導部も、全ての組織も一丸になっている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ベトナムに中国技術からのデカップリング要求=関

ビジネス

再送日産、ルノー株5%売却資金は商品開発投資に充当

ワールド

バングラ総選挙、来年2月に前倒しの可能性 ユヌス首

ビジネス

ユーロ高大きく懸念せず、インフレ下振れリスク限定的
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中