韓国がオバマ大統領の尽力の所産ともいえる合意を一方的に破棄すれば、米国はじめ各国が「韓国は約束を守らない国」だと認識することになる。

日本が拠出した10億円は直接的には元慰安婦への見舞金だが、韓国の国際的な信用を担保する意味合いも大きい。仮に日本が返還金を受け取れば約束を守らない国を容認することになりかねない。

日本は合意破棄をある程度想定できたが、韓国は米国に加えて北朝鮮や中国からの信用も失った。北朝鮮は以降、親北政権の交渉に応じることはなく、20年には南北事務所を爆破した。中国の習近平主席も文在寅大統領の訪韓要請に応えることはなかった。

慰安婦合意を批判した人たちのその後は......

現在、慰安婦合意を批判した人たちは見る影もない。支給を妨害した「ナヌムの家」の当時の所長は不正が明るみに出て実刑が確定した。正義連の尹美香前代表も同様だ。20年の総選挙で国会入りを果たしたが、横領などの容疑で有罪判決を受けている。24年4月の総選挙に出馬しなかったが、話題になることはなかった。仮に出馬して再選できても任期中に上告審で有罪が確定すれば失職は免れない。

文在寅前大統領も表に出ることはない。23年5月に封切られたドキュメンタリー映画「文在寅です」の観客動員数は10万人。公開10日で100万人を突破した映画「盧武鉉です」とは対照的で、タマネギ男こと曺国を描いたドキュメンタリー映画「君がチョ・グク」の30万人にも及ばない。

「和解・癒やし財団」の残金処理は日本政府の承認が必須である。韓国は10億円を返還する案や別の関連事業に使う案などを提示したが、日本は返金を再度拒絶し、また本来の目的以外は認められないと回答した。

市民団体や学界は返還や慰安婦支援事業への投入など早急な処理を求め、ある法学教授は財団を元に戻して事業を継続することが日本への礼儀だと主張する。官民学のいずれを見ても拠出の前提にあった慰安婦問題の解決がおざなりになっている。

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