最新記事
パレスチナ

イスラエルにもハマスにも「停戦の意欲」なし...そこで不可欠となる、和平の「4条件」

Four Conditions to End the War

2024年3月15日(金)18時00分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

240319p32_GZA_02.jpg

南部のラファで食料を受け取るために集まった住民 IBRAHEEM ABU MUSTAFAーREUTERS

ただし、現段階でバイデン政権がイスラエル批判の姿勢を強めているとは言えない。

副大統領のハリスがバイデンよりも「強い口調」で「即時停戦」を求めたという報道もあるが、それは違う。確かにハリスは「直ちに少なくとも6週間の停戦」を求めたが、最初にその提案をしたのはイスラエル側であり、「交渉に応じる責任はハマス側にある」とも彼女は明言している。

しかし、今後はイスラエルへの圧力を強める局面もありそうだ。ネタニヤフはガザ地区を今後10年ほど、イスラエル軍の管理下に置く意向を表明しているが、そんなことは誰も──周辺諸国もアメリカも──望んでいない。

実際、バイデン政権はイスラエルの自衛権を認めつつも、「過剰な」報復は控えるよう圧力をかけてきた。一方、周辺のアラブ諸国がハマスに自制を求める気配はない。

そもそもスンニ派の大国エジプトやサウジアラビアはパレスチナ人の運命に無関心で、ハマスのような過激派には嫌悪感すら抱いていた。バーレーンやアラブ首長国連邦も同様、パレスチナ問題には目をつぶってもイスラエルとの「関係正常化」を目指してきた。全ては共通の敵であるシーア派の大国イランに対抗するためだった。

しかし今回の戦争で思惑が外れた。とりわけカタールの立ち位置は微妙だ。この国は一貫して、絶妙なバランス感覚で生きてきた。欧米の石油会社を受け入れ、米軍の基地も受け入れているが、ハマスに対する最大の支援国でもある。武器や資金を与え、ハマス政治部の指導者に豪奢な邸宅を用意してもいる。

対してバイデン政権が望むのは、停戦が6週間を超えて続き、1人でも多くの人質が解放され、もっと多くの人道支援物資が運び込まれ、さらにパレスチナ問題の恒久的な解決につながるような機運が生まれることだ。

だが今のところ、その可能性は低い。イスラエル紙ハーレツによれば停戦交渉は「決裂寸前」だ。

ハマスは完全な停戦とイスラエル軍の撤退を求め、南部への退避を強いられたガザ地区住民が北部に戻れることを人質解放の条件としている。とてもイスラエル側ののめる条件ではない。軍隊を引けばハマスの戦闘員は堂々と北部に戻るだろうし、人質が解放される保証もない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英失業率、第4四半期5.2% パンデミック除き約1

ワールド

IS戦闘員とみられる豪国民の家族、政府は帰国支援せ

ワールド

金価格が2%超下落、ドル上昇で 取引閑散

ビジネス

日経平均は4日続落、一時600円超安 株高後の調整
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中