最新記事
大事故

ボルティモア橋崩落、不明の6人死亡か 船舶立ち往生で供給懸念

2024年3月27日(水)12時14分
ロイター
ボルティモア

米東部メリーランド州ボルティモアで26日未明、港湾にかかる橋が崩落した事故で、2人が救助されたものの依然として6人が行方不明となっている。(2024年 ロイター/ABC AFFILIATE WJLA via REUTERS)

米東部メリーランド州ボルティモアで26日未明、港湾にかかる橋が崩落した事故で、2人が救助されたものの依然として6人が行方不明となっている。メリーランド州運輸局が発表した。

6人は死亡したとみられ、捜索活動は中止された。

 

米沿岸警備隊とメリーランド州警察の当局者によると、橋の残骸が散乱する中、夜になり、ダイビングチームが危険な状況にさらされていることから捜索救助活動は事故発生から約18時間後に打ち切られた。

沿岸警備隊の当局者は、水温が低く事故から長い時間が経過していることから、行方不明者が生きて発見される見込みはないとの認識を示した。警察当局者は27日朝に遺体回収のため活動を再開したい意向だと述べた。

橋は電源の故障で機能不全に陥った大型コンテナ船が衝突し崩落した。

ウェス・ムーア州知事は会見で「予備調査は事故であることを示している」と述べ、テロ攻撃であることを示す信頼できる証拠はないと述べた。

橋は1977年開通。ムーア知事によると、橋に構造上の問題はなかったという。

バイデン大統領は「早期に港を再開し、橋を再建するよう指示した」と述べ、できるだけ早くボルティモアを訪問する意向を示した。

この事故を受け、同港湾の周辺で船舶が立ち往生する事態が発生している。

データ分析グループKplerなどの分析によると、石炭を積載する予定の船舶少なくとも13隻が同港付近で足止めされているほか、複数のコンテナ船などが付近に停泊を余儀なくされている。

デンマークの海運大手マースクは「この地域の通過が安全と判断されるまで、当面の間」、ボルティモア港を全てのサービスから除外すると述べた。26日に橋と衝突したコンテナ船はマースクがチャーターしていた。

米東海岸の主要港の一つであるボルティモア港が閉鎖されたことで、自動車や石炭など各種商品の輸送が遅延する恐れがある。専門家は、供給のボトルネックが発生し、コスト増につながる可能性があると指摘している。

米自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターは、橋の崩落を受けボルティモア港が閉鎖されたため出荷を迂回させると発表。ただ、共に影響は最小限にとどまるとの見方を示している。

メリーランド州港湾局よると、ボルティモア港は米国で最も多くの自動車輸送を取り扱っている。

今回の事故を起こしたコンテナ船は、2016年にベルギーのアントワープ港で岸壁に衝突する事故を起こしている。23年6月に実施された検査で「推進装置と補助装置」の欠陥が指摘されていた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、エヌビディアAI半導体の中国販売認可を

ワールド

習氏、台湾問題で立場明確に トランプ氏と電話会談=

ビジネス

EU、AIの波乗り遅れで将来にリスク ECB総裁が

ワールド

英文化相、テレグラフの早期売却目指す デイリー・メ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中