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ゼレンスキーが欧米の援助金で「私腹を肥やした」は嘘?本当? 「豪華プールつき大邸宅」写真を検証

Fact Check: Does Zelensky Live in $5.5M Mansion With Infinity Pool?

2023年7月22日(土)12時57分
ブレンダン・コール

たしかにこの物件は、「グリーン・エイカーズ」という不動産サイトで、850平方メートルのベル・エポック様式の別荘と紹介されている。場所はフランス、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏のアルプ=マリティーム県で、価格は490万ユーロ(約7億6550円)。フランスにありながら「モナコからわずか数分」という点が「売り」らしい。

モナコは、フレンチ・リヴィエラとも呼ばれるコート・ダジュールの公国で、贅沢な暮らしは大好きだが、税金はあまり支払いたくないジェットセッター(自家用飛行機で世界中を飛び回る人物)たちに人気がある。

ベッドルームは4つあり、各ベッドルームに専用のバスルームが付いている。天然石や大理石などの「上質な素材を使って美しく改装」されているようだ。海が一望でき、当然のように「美しいインフィニティプール」も備えられている。

「なぜ嘘をつく?」「とんだ道化師だ」

この事実を知った人々からは、チャーチルへの批判が殺到している。ニールス・グローネヴェルトという人物は、「なぜ嘘をつく?」と問い掛け、ピンタレストで宣伝されているこの物件の画像を提示した。ウクライナ、オデッサ出身のケイト・レフチュクは、「とんだ道化師だ(笑)」とツイート。ほかにも「あの家はフランスのボーソレイユで売りに出されている。ゼレンスキーの邸宅ではない」という指摘が次々に投稿された。

根拠のない汚職の嫌疑をゼレンスキーがかけられたのは、これが初めてではない。2023年2月には、ゼレンスキーが米フロリダ州に3500万ドルの邸宅を持ち、国外の銀行口座に12億ドルを預けている、と主張する投稿がソーシャルメディアで拡散された。

トランプズ・ネヒュー(トランプの甥)というアカウントは、こうツイートしている。「ゼレンスキーは、15の邸宅と3機の自家用機を所有し、月収は1100万ドルだ。私たちの援助はどこに行くのか、と問いかける人が誰もいないのはなぜだろう?」

しかし経済誌フォーブスの調査では、彼らが主張する資産の証拠は発見されなかった。また、フロリダ州の公文書にも、ゼレンスキーが同州に家を所有していた記録はない。フォーブスは2022年、ゼレンスキーの不動産ポートフォリオは400万ドル相当で、自身が所有するアパートメント2室、共同所有のアパートメント2室、駐車スペース5台分、商用物件から成ると試算している。

ゼレンスキーの報道官セルヒー・ニキフォロフは2023年2月、AFPの取材に対して、こうした主張は、「自由と正義を求めるウクライナ人の戦いを支援するアメリカ社会に影響を与えようとする、意図的だが無益な試み」の一つだと断じている。
(翻訳:ガリレオ)

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